郷 友 歌 壇


 令和2年 9・10月号より  
 再開す 再会できる知らせあり 励みにな りて 喜びて詠む  町田市  中里 真二
 コロナ禍で 余暇に散歩も コース変へ 思はぬ景色 今日もわくわく
 梅雨晴れ間 川辺の道の 植え込みの 下草刈りて 雑草もすっきり 町田市  永野 節雄
 九州に 水害もたらせし 線状前線 関東への移行を 気遣い暮す
 ダム無くば 治水困難 暴れ川 ダムより人へが もたらす惨状 草加市  勝木 俊知
 天の川 眺めて将来 考えし 演習場の 深き闇にて
 木洩れ日を 地べたに這わせ 枝広げ 樹齢六百 影向の松  豊島区  橋本 孝一
 川面とぶ 燕のすがた 見えかくれ 五月雨ふりて 川面にえくぼ
 ステイホーム 戦中戦後の 祖父母らの 労 苦を偲び わが身をただす 港区   宝珠山 昇
 ぼんやりと 教科書照らす ホタル篭 大麦わらを 編んで作りし
 焼夷弾 降りそそぐ中 逃げ惑い 川に飛び込み 一命を得し 福井市   橋詰 見世 
 吾をねらい 機銃掃射す パイロット 白き歯を剥き ニッと笑みたり
 梅雨空の 雲間に見ゆる 青空は 咲く紫陽花の その色に似て 横浜市  川田 眞佐子
 コロナ禍で塗りつぶされしスケジュー ル手帳に並ぶ修正液の白
 「生ききる」 とふ言の葉に ふれ残されし わが人生に 思ひをはする 選者   安元 百合子
 西日受け 家路たどれば 影法師 長く伸びつつ 我をみちびく

  令和2年 7・8月号より
  手を伸ばし 目覚まし取りて 確かむる 今少し居る まどろみの刻 横浜市  川田 眞佐子
  この風に かほる花の香 望月の 光を受 けて 卯の花浮かぶ
  荷造りに 思い出つのり 手がとまる ひと月の猶予 残り少なし 町田市  中里 真二
  春眠の 暁知らせる お客様 まだ寝てるの と 小鳥さえずる
  ゆったりと 花筏流れ 岸辺には 菜の花黄に咲き いま盛りなり 町田市  永野 節雄
  春休み ゴールデンウイークも コロナ禍で 消えて蟄居の 学童哀れ
  鉄線花 壁よじ登り 白き八重 花咲き競う 斜陽に映えて 草加市  勝木 俊知
  コロナ鬱 菖蒲湯に入り 吹き飛ばせ 端午の節句だ 粽も食べて
  水仙と 菜の花 桜 咲きそろい 緑さやかな道 鴨川に向かう 豊島区  橋本 孝一
  傘寿過ぎ 重ねし月日に 思い閉じ あなたを忘れ 己も忘れ
  ステイホーム 「三密」避ける 孫からの 元気ですかの 電話になごむ 港区   宝珠山 昇
  小川から 水を汲みきて 風呂を焚く 手伝 いをせし 戦後懐かし
  現憲法 個人主義を 尊重し 強制力無く コロナ跋扈す 福井市  橋詰 見世
  緊急事態 宣言すれど 国民の 安心安全 守る鞭無く
  コロナにて 人の絶えたる 園に咲く 桜かなしも 咲きの盛りを 選者   安元 百合子
  百歳の 母のはぶりに 赤飯を 炊きしといふを 胸いたく聞く