日露戦争の教訓と大東亜戦争との比較考察

一般社団法人 日本郷友連盟 理事 袴田 忠夫
 

 筆者は、前回の会誌『郷友』で2022年の1月と8月に、焚書「大衆明治史」菊池寛著の上下巻が復刻されたことに鑑み、日露戦争の真実の要点等を紹介するとともに、日露戦争の歴史的意義等について考察した。今回は、日露戦争の教訓等を踏まえ、大東亜戦争の歴史的意義等について、比較考察することとしたい。

 日露戦争と大東亜戦争はともに開戦前、政府も国民もギリギリまで追いつめられ、そして、大きな国力差があるにもかかわらず、戦端を開いているが、日露戦争と大東亜戦争の大きな違いは、前者は同じ海洋国家であるイギリスと同盟を結び、かつ最大の海洋国家であるアメリカを味方にして戦ったのに対し、大東亜戦争は大陸国家であり、かつ日本の人種平等の理念に反するドイツ(ユダヤ人を迫害するヒットラーにより統治された独裁国家)と同盟を結び、資源大国である海洋国家アメリカおよび同じ海洋国家であるイギリスと戦闘を交えるという、資源小国海洋国家日本にとって、戦略的には極めて不利な戦争であった。

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焚書「大衆明治史」菊池寛著 復刻に思う

一般社団法人 日本郷友連盟 理事 袴田 忠夫
 

筆者は、近年、戦後GHQによって焚書にされた著書が、次々に復刻されていることに鑑み、これまで会誌『郷友』でこれらの復刻書をたびたび紹介してきた。
なぜ、戦後GHQによって焚書にされた著書に価値があるのか? それは戦勝国が戦後日本を弱体化するため、日本の真実の歴史を葬り去ろうとしたからに他ならないのであり、焚書の中にこそ日本の真実の歴史が描かれていると考えるからである。
おりしも、来年は日露戦争開戦120周年の年でもあり、このようなタイミングで2022年の1月と8月に、焚書「大衆明治史」菊池寛著の上下巻が復刻された。
本書は、「大衆明治史 国民版」菊池寛著(昭和十八年八月三十日五版 汎洋社刊)を底本としている。
特に、下巻は、「日本大陸に進むーGHQが消した日露戦争の真実」というタイトルである。

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日本を目覚めさせた中国の挑戦

一般社団法人 日本郷友連盟 常務理事 冨田 稔
 

 昨年(令和四年)十二月十六日に日本国政府は、七十七年前に大東亜戦争に敗北して以来はじめてとなる、国家安全保障戦略、国防戦略および防衛力整備計画のいわゆる「防衛三文書」を発表した。

 この文書は、これまでの「専守防衛」や「非核三原則」などを堅持するとしている点などの改善すべき点はあるが、「我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している。」として我が国が直面している安全保障環境を具体的かつ端的に表現している点は、大いに評価できる。

 特に、軍事力の急激な増強とそれを背景とした覇権的行動を活発化させている中国については、「法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記述された。
これは、従来からの経済重視で曖昧な対中姿勢を大きく変えるものであり、やっと現実的な国防論議ができる土俵ができたとの感を禁じ得ない。

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「歴史戦」に勝利を

一般社団法人 日本郷友連盟 会長 寺島泰三
 

 去る九月三日、北朝鮮は世界中からの非難をものともせず六回目の核実験を強行した。
また昨年から今年にかけて数多くのミサイルの実験も繰り返しており、その射程も最早米国本土に到達する程に達していると言われている。

 一方中国は巨大な軍事費を背景に海空及びミサイル戦力の増強を図っており、我が国周辺における活動も逐次拡大の一途をたどっている。

 さらには北方四島における地対艦ミサイルの配置などのロシア軍の増強もあり、我が国周辺の軍事情勢はますます緊張度を高めていると云っても過言ではない。

 然しこれらの顕在化する事象と異なり、知らず知らずのうちに国を貶め国を亡ぼす戦い即ち「歴史戦」が只今現在も執拗に繰り広げられていることを私たちは深刻に認識すべきであろう。

 一昨年十一月九日、南京大虐殺文書なるものがユネスコ世界記憶遺産(世界の記憶)に登録された。
世界記憶遺産は文化遺産や自然遺産のように国際条約によって規定され加盟国が申請を行うといった厳格で権威あるものとは異なり、個人でも誰でも申請出来るというような代物に過ぎないが、国連という場を悪用したものとはいえ登録されたという事実は残り、今後の影響は少なくないといえよう。

 そもそも南京事件なるものは昭和十二年十二月,、支那事変の最中南京攻略中に日本軍が無辜の支那人三十万人を虐殺したとされているものであるが、若し事実であったとすれば国際的に大問題となっていたはずである。しかし当時は国際的な報道でも全く記事が見られず、また当時の蒋介石や毛沢東の日誌等にも全然記述がなされていなかったことを見れば、南京事件なるものは全くの事実無根であったと思うべきである。

 それが戦後所謂東京裁判の場に突如提起され、十分な証拠調べのないまま三十万の無辜の民を虐殺した責任を問われ、松井石根陸軍大将が絞首刑とされたのであった。

 而してその後も昭和五十七年まで三十数年何の話題にもならなかった南京事件が中国において突如として論議を呼ぶようになり、昭和六十年には南京大虐殺記念館が建設され、その後にも中国各地に虐殺記念館が建立されるといったように逐次拡大して今日に至っているのである。

 もとより三十万人虐殺説には事実関係や根拠に乏しい架空の議論に過ぎないことは内外多くの歴史学者の証明するところである。

 しかしながら我が外務省の公式見解では、「日本政府としては、日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害や略奪行為があったことは否定できないと考えています。」という極めて曖昧かつ不合理な表現であり、甚だ遺憾と言わざるを得ない。
我が国の名誉のためにもそして英霊に対する冒?を排徐するためにも断固毅然として事実関係を正しく世界に向けて発信することが肝要ではあるまいか。

 また日韓両国間には所謂慰安婦問題が横たわっている。
そもそも慰安婦に関しては戦中も戦後も全く問題視されていなかったのであるが、戦後三十八年も経った昭和五十八年朝日新聞に吉田清治なるものが済州島において二百人の若い女性狩りしたというでっち上げの記事が掲載されたことに端を発して以来日韓間の懸案事項となり、平成五年には時の河野官房長官が軍の関与を認め、また宮沢総理大臣が訪韓の際数次にわたって謝罪を繰り返すなどの不手際もあって益々問題が増幅拡大していったのである。

 そしてさらに平成五年には韓国日本大使館前に慰安婦を象徴する少女像が設けられ、その後釜山日本領事館前や韓国全土に設置されるようになり、さらには米国や豪州にも少女像設置の動きが拡散していっているのである。
最近に至ってはバスの中までにも少女像が置かれており憤慨に堪えないところである。

 国連の場においては平成八年クマラスワミ女史によって日本軍が二十万人の韓国女性を性奴隷としたといった報告がなされ、さらには一旦登録が見送られたものの日本軍が中韓の女性四十万人を性奴隷としたという内容で中韓、北鮮や比台さらには心なき日本人などによって構成された連帯委員会によって再度記憶遺産に登録しようという動きもあり益々エスカレートする傾向にある。

 一昨年十二月日韓外相共同記者会見の場において所謂慰安婦問題については「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認されたのは一応の評価がなされよう。
しかしその後就任した文在寅韓国大統領は日韓合意を再検討する旨発言し、さらに国政運営五カ年計画の中で慰安婦問題に関し二千十八年に日本軍慰安婦被害者記念日の制定、十九年には慰安婦被害者研究所の設置三十年には慰安婦歴史館を設立するとの計画を発表しておることは甚だ遺憾に思うとともに良好な日韓関係に水を差すものとして強く糾弾しなくてはなるまい。
国家間の約束が国民の動向によって左右されることのなきよう韓国の良識に期待したいものである。

 一方においては既に日韓基本条約ですでに解決済みの所謂徴用工問題がぶり返される動きがあることもまた遺憾であり注目の要があろう。

 このように正に今や我が国は中韓両国から仕掛けられた「歴史戦」の真っただ中にあると云えよう。

 而してこの不条理な戦いに勝利しなければ誇りある我が国の未来はないと云っても過言ではない。
私たち日本国民はこのような史実と乖離した暴論妄言に対しては官民挙げて国際社会において敢然と立ち向かわなければなるまい。

 日本の誇りと矜持のためにそして英霊の名誉のためにも特に政府就中外務省の対応に猛省を促したい。

 そしてこの仕向けられた歴史戦に勝利するためには私たち自身正しい歴史観を保持することが何よりも肝要であろう。
それは取りも直さず所謂東京裁判によってそしてウオーギルト・インフォ―メイション・プログラムによって植え付けられた誤れる自虐史観を払拭することに他なるまい。

 東京裁判において東條英機大将が証言した如く、マッカーサー将軍が米国上院議会で証言した如く、そしてフーバー第十八代米国大統領が回顧録で述べている如く大東亜戦争は決して侵略戦争ではなく自存自衛のためやむを得ず立ち上がった自衛のための戦争であることが単に歴史家のみならず国際社会全体において理解認識される日の近からんことを期待したい。

 そのためにも西暦より長い皇紀二千六百七十余年、連綿として百二十五代の天皇を戴く世界に冠たる我が国の歴史を大切に後世に伝えて行きたいと願っているものである。




中学校歴史教科書の採択に思う

一般社団法人 日本郷友連盟 執行役員 袴田 忠夫
 

 昨年度は、平成28年度から使用する中学校歴史教科書の採択年度でありました。この結果について思うところを述べてみたい。

 まず、今回の本題に入る前に、2010年の18歳以上の若者に対する「世界価値観調査」(この調査は5年ごとに行われ、2015年のデータはまだ公表されていない)によりますと、日本は「自国を誇りに思う」の項目で世界の最低に近く、「もし戦争が起こったら国のために戦うか」では「ハイ」と答えたのが15.2%と図抜けて世界最低で、ちなみに韓国は63%、中国は74.2%です。
すなわち、誇りに思わない国を救うために命を投げ出すことなどはありえないのです。
このような異常な状況を生み出している原点は、戦後、占領下において「占領者は占領地の法律を尊重して占領行政を施行すべし」という国際法に違反して占領軍から押し付けられた現日本国憲法の存在にあると思っております。 

 日本国憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書かれており、独立国家として最も根幹ともいうべき自国の安全と生存にかかわることをこのような他人任せの憲法では自分の国は自分たちで守るという国防意識は生まれようがないのです。

 そして、更に国防意識を低調にしている大きな要因が教科書に起因する問題であります。
私は、現在、一般社団法人日本郷友連盟で教育研究委員をしておりますが、着任後、第一次安倍内閣の時の教育基本法の改正に伴い、以来、日本の義務教育の社会科教科書の調査・研究を行い、その結果についてこれまで文科省を始めとした関係各部に様々な提言をしてまいりましたが、今もって子供たちに圧倒的に使われている教科書ほど、特に日本の近現代史について極めて自虐的な書き方をされているのに気づかされ唖然とさせられたのであります。

 当教育研究委員会としては、このような現状を打破すべく一昨年には「国民の物語としての日本の歴史」を作成し、関係各部に配布するとともに日本郷友連盟のホームページにも掲載いたしました。

             中学校歴史教科書の採択に思う  袴田 忠夫 (PDF)



戦後70周年                          
大東亜戦争はいまだ終っていない

一般社団法人 日本郷友連盟 執行役員 袴田 忠夫
 

 私は「今、日本にとって最も欠けているものは、日本の歴史に対する日本人としての誇りであると思う。そして、このことが、戦後日本の政治外交問題、憲法問題、靖国問題、教育問題等多くの分野で極めていびつな形となっている。 その根本的原因は、大東亜戦争後、連合国によって行われた極東国際軍事裁判いわゆる東京裁判に起因するわが国の近現代史に対する誤った認識にある。この東京裁判によって、白人による350年以上の侵略と植民地支配の罪を負けた日本にすべて転嫁された。この結果、日本人は、何もかも日本が悪いという戦争犯罪意識を、骨の髄まで刷り込まれたために、偽りの歴史観で【謝罪を国是】とする【戦後体制】が構築された。 歴史学者、アーノルド・トインビーは《歴史を忘れた民族は滅びる》という名言を残しているが、このままの状況が続いていくと、日本の将来は、まさに危機的状況にある」ということを述べました。

 この点について、私は、昨今の集団的自衛権に関する国会論議やマスコミでの討議をみて、ますます「日本は危機的状況にあるな」と思った次第です。 まさに、これらの論戦が、「東京裁判史観そのもの」が根っこになっていると思うからです。

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 戦後70周年にあたり、「大東亜戦争はいまだ終わっていない」という観点から、これまで寄稿した内容について、今一度要約・補足してみた。
 前述したように、東京裁判については、この裁判の無効性を終始主張したインドのパール判事が、東京裁判を行った連合国がつくった国際連合において、サンフランシスコ講和条約発効後1952年から15年間にもわたって、国際連合国際法委員会委員長を務めたことからも、連合国にとっても裁判の無効性は周知の事実といえる。このような観点からも、日本国民は一日も早く、「東京裁判史観から脱却」しなければならない。 

 安倍首相は、自著である『美しい国へ』において、「若い世代に対し、この国を自信と誇りを持てる国にしたい」と述べている。そして、戦後70周年にあたり、「安倍談話」を出すとのことである。

 今上天皇は、昨年2014年12月23日の御誕生日の際に、つぎのようなお言葉を残しておられる。
 「先の戦争では三百万を超す多くの人が亡くなりました。その人々の死を無にすることがないよう、常により良い日本をつくる努力を続けることが残された私どもに課された義務であり、後に来る時代への責任であると思います」。

 戦後70周年にあたる「安倍談話」については、天皇のお言葉にあるように「先の戦争で亡くなられた多くの人々の死を無にすることがないよう」、そして「若い世代がこの国に自信と誇りを持つことができるよう」な談話になることを切に願う次第である。

             大東亜戦争はいまだ終っていない  袴田 忠夫 (PDF)




  
「国民の物語」となる歴史教科書を

   
―中学校社会(歴史的分野)教科書の検討―

平成25年3月

一般社団法人 日本郷友連盟

郷友総研 教育研究委員会


まえがき  教科書改善は「明日への責任」  

一般社団法人『日本郷友連盟』及び『郷友総研・教育研究委員会』は毎年、調査・研究の結果を『報告書』にまとめ、関係各方面に配布しているが、その都度「シジフォスの石」の虚しさを感じている。
蛇足だと思うが説明を付ける。
シジフォスはギリシャ神話の人物、ゼウスの神の怒りに触れ、大石を山上に押し上げる罰を受けた。
だが渾身の力で押し上げた石は頂上まであと一息の所で転げ落ち、またやり直さなければならないという、徒労に徒労を重ねる悲哀の譬えだ。 日本では「賽の河原の石積み」と言う。
徒労の悲哀を感じながらも我々は、誰からも強制されることなく自らの積極的な意志で“大きな石”を担いだ。
ここでの大石とは、巨視的には占領政策の遺産である「戦後レジーム」の打破だが、微視的には「戦後学校教育」の分野において、大手を振って罷り通っている、いわゆる「自虐的・反日的教科書(以下、自虐教科書)」の排除乃至は修正である。


1 教育の失策を阿片に譬えた福沢諭吉  
大国滅亡の真の原因は、発展途上で芽生え、繁栄の中で蔓延した「国民道徳の退廃」「精神の弛緩」「外国文化への憧憬(自国文化蔑視)」にある、という説は傾聴に値する。

詳述は省略するが、敗戦による壊滅的な状況から奇跡の復興を遂げ、1980年代に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と煽てられた日本が、今、総体的な国力の急速な下落に直面していることは、誰もが認めざるを得ないであろう。
この不本意な現状に対し、大胆な判定を下せば「日本が再びアメリカ及び世界の脅威にならざること」という占領政策の見事な勝利であり、我が国から見れば「銃声なき戦争」における「第二の敗戦」ということになろう。

不気味な予言があった。
1995(平成7)年、中国の李鵬首相は訪問先のオーストラリアで、「日本は国家ではない。今のままでは20年もすれば、潰れて消えてしまうだろう」と言った。
「国家ではない」という言葉の根拠の一つに、中・韓両国の不当な介入を許す自虐教科書があるとみていいだろう。 尖閣問題で主権を脅かされる日本の姿は、まさに李鵬氏予言の的中だ。
予言の期限まであと2年、野田総理(当時)は解散理由の説明で「明日への責任」という言葉を何回も繰り返した。
端的に言えば莫大な財政赤字を急いで片付けようということだが、当時は野党だった自民・公明両党から格別の反論はなかった。 つまり与野党一致である。

そこで政治家諸氏に問いたい。 「大きな《負の遺産》は借金だけですか?」と。
自虐教科書の処理も国民の精神に関わる”待ったなし”の負の遺産だ。 両者の並行処理が必要である。
政治の失策は影響が大きいが、気付いて改めれば痕跡は消える。
教育の場合は阿片のように全身に毒素が廻って表面に現れるまでに歳月を要し、回復にも幾多の歳月を要す。
福沢諭吉の警告(明治25年)の要旨である。
自虐教科書は国家の威信を損ね、児童・生徒を退嬰的にする阿片の毒だ。 服用は亡国の道を歩くに等しい。
我々は微力ながら憂いを共有する諸団体と協力し教科書改善運動に参加した。
だが結果はシジフォスの石であった。

平成18年、状況が一変した。
安倍総理(当時)の強いリーダーシップにより、憲法と並んで「聖域視」されていた教育基本法が改正され、関連する学習指導要領(以下、指導要領)及び教科用図書検定基準(以下、検定基準)の改訂も行われた。 好機到来だ。
平成23年度の中学校教科書の採択は、まさに教科書改善運動にとって文字通りの正念場になった。
期待が大きく膨らんだ。 同時に不安感も募った。
期待の根拠は新指導要領、新検定基準がチェック機能を発揮し自虐教科書が修正されること。
不安の根拠は宮沢談話、河野談話、村山談話、菅談話の厚い壁に阻まれ、チェック機能が作動しないことである。

2 安倍元総理の強い叱責 ―自虐教科書が検定通過  
期待と危惧が交錯した平成23年度の「中学校教科書」採択戦。
固唾を呑んで見守った結果は、残念ながら不安が現実になった。 しかも大敗だ。
次に採択率(市場占有率)を掲げる。
@東書=52.8% A教出=14.6% B帝国=14.1% C日文=12.6%D育鵬=03.7% E清水=02.1% F自由=00.1%

自由社本の参入で育鵬社本との相乗効果による両者の躍進を期待した。
だが育鵬社本の微増はあったが、一社の半数独占、自虐教科書96%超という概況は従前通りだった。 更に翌24年度の高校歴史教科書採択では一段と甘い検定になった。
要するに“何も変わらない”のである。

平成24年4月、「日本の前途と歴史教育を考える会(教科書議連)」の会合で、文科省担当者から高校歴史教科書検定結果の報告があった。
その際、日韓両国の歴史認識の違いで重要な争点となっている「慰安婦」について、「動員した」「かりだされた」という「強制連行」を意味(暗示)する記述が、検定意見も付かずにそのまま通過していたことが判明した。
それを知った教科書議連顧問である安倍元総理(当時)は、強い口調で文科省担当者を叱責した。
「私は総理のとき、《いわゆる従軍慰安婦の強制連行はなかった》と国会で答弁した。一体、いつ変更したのか?」 「誰が《動員した》のか?《かりだす》とは、日本軍以外、一体誰を指すのか?」

文科省担当者の弁解は全く要領を得ず、安倍氏の叱責は更に続いたという。
高校教科書の慰安婦記述は「甘い検定」の代表例だ。 小・中の検定も甘かった。
平素、教育問題に熱心な義家参議院議員も「文科省の検定は首相の国会答弁より重いのか」と憤慨しているが、同感である。 膨らんだ期待が弾けただけに、落胆も大きかった。

昭和40年代の「家永教科書裁判」を単純化すれば、指導要領から離れようとする家永氏と、指導要領に近付けようとする教科書調査官、両者の歴史観の激突だった。
それが宮沢談話以後は正反対になった。
調査官は自虐的記述をパスさせる“理由捜し”をしているようにみえる。
ハードルを低くすれば新教基法を頂点とする指導要領・検定基準の改訂が有名無実となる。

だが申請本の記述を「削除させた」「修正させた」「追加させた」ことの責任を、全て調査官に押し付けることはできない。
官僚のトップに立つ次官でも歯が立たない「超法規的圧力」があったことは確かだろう。
ズバリ言えば「政治判断」である。



3 政治を意識した平成24年度の調査・研究
従来も教育問題はしばしば政治問題に転化された。 だが政治の論理と教育の論理の妥協も少なからずあった。
しかし現在の教科書問題は問答無用の政治判断優先だ。
繰り返すが平成23・24年度の中・高教科書採択戦の結果の数字は、教基法改正以前と殆ど変らなかった。

次回中学校教科書の採択戦は平成27年度だ。 教科書問題も表面的には小休止だろう。
そこで我々は24年度の調査・研究について考えた。

目指す方向は@教科書問題は「政治課題」だと割り切って撤退し、別の主題を設定する。A国家の命運を左右する教科書問題の重要性に鑑み、この課題を追究する―という二者択一だったが、協議の結果、まずAを選び、その上で次の前提となる方法論を確認した。

ア. 義務教育学校の教科書の基本的性格、及びそれを端的に表現する標語は従前通り。
イ. 教科書問題は政治優先の現実を踏まえ「政治判断」の参考に供する意味も含め、児童・生徒に
  「提供したい教科書」の内容を考える(指導要領を超えることもあり得る)。
ウ. 引き続き友好団体と連携し「教科書改善」の運動には積極的に参加する。  

「ア」についての補足。「従来の教科書の性格及び標語」の内容は、既刊の『報告書』から関連する部分を引用し、それに若干の修正(状況の変化)を加えて次に掲げる。

(1) 判断力未熟な子供が使う教科書と学術論文・研究図書は別物だ。 教科書を著者・編集者の持論発表の場にしてはならない。 そこでは当然、表現の自由も制約を受ける。

(2) 「国家」とは高度の抽象概念である。 児童・生徒は国旗・国家、国語・社会・音楽・道徳等の学習並びに伝統的な風俗・習慣や行事・儀式等の体験を通して、徐々に具体的な国家像を描くようになる。 この概念形成過程において歴史教育(中心は教科書)の影響が極めて大きいことは自明である。 従って教科書は「健全な国家概念」の形成に寄与する、分かり易い「国民の物語」でなければならない。 換言すれば様々な史実の中から、我が国の歴史に対する「理解と愛情」を育てるものを紡ぎだし、美しい織物として見せることである。

(3) 教科書を歴史観対決の標的にしてはならない。 まして政治・外交の駆け引きの具に供することなどは論外である。だが我が国の教科書は「論外が常態」となっている。 改めて「教科書評価」の拠り所は、指導要領及び検定基準であることの確認が必要である。

(4) 戦争における戦略・戦術の検証結果と、人道的観点に立脚する戦争全面否定論は峻別する必要がある。 戦争に直面した人間はしばしば相反する「極限の姿」を露呈する。 一方は平素極力自制していた「おぞましい蛮行」であり、他方は「崇高な価値」とされてきた「心に潜む美質(無私の献身)」の発現である。 前者を肥大化し後者を矮小化してはならない。

(5) 我々は教科書の性格を児童・生徒に日本という国家、日本人という民族の誇りを涵養し、気概を鼓舞する「国民の物語」であるとしたが、このことを簡潔に示す標語として「ヒストリー(歴史)はストーリー(物語)である」という語呂合わせ的な表現を採用した。


4 歴史記述の多様性―日本は物語、中国は宣伝、韓国は幻想
「歴史追究の過程は学問だが、結論の記述は文学あるいは宗教の告白である」という言葉がある。
後段には組織拡大の宣伝文句、時流に阿る政治家の自己保身、経済的利益優先の企業論理等の言葉も加えたい。
我々はこの「記述の多様性」を踏まえた上で、教科書の性格を単純明快に示す標語に「ヒストリーはストーリーである」を選んだことは上述の通りである。

ところが中・韓両国は、我々とは全く異なる歴史観を日本に強要している。
その根拠は近隣諸国条項を内包する「東京裁判史観」であるが、改めて中・韓両国の主張を概観する。

(1) 中国の歴史観(主張)を見よう。 例えば「南京虐殺事件」だ。 日・中合同の歴史研究において日本側は、事件そのものの否定から、被害者数を2万〜20万とする各種資料が示す事実や数字を並べた。 だが中国側は「30万人虐殺」の一点張りだという。 共産党の主張を唯一の歴史としているのである。 一時が万事という言葉がある。 白髪三千丈的な誇大表現が通る国では常識外れの誇大宣伝が「正史」になるから、看過してはならないのである。

(2) 韓国はいわゆる「何でも歴史観」だ。 最近の韓国は孔子、釈迦、漢字、漢方医学、活字印刷から端午の節句等、全てを韓国発祥と言い張っている。 日本の被害も甚大だ。 柔道、剣道、茶道、華道も発祥は韓国であり、遂に皇室の先祖まで韓国出身だと言い出した。 某雑誌の載った「高天原故地」と刻んだ巨大石碑の写真を見て、我が目を疑った。
これら日・中・韓三国の歴史観の違いを、「日本はストーリー」「中国はプロパガンダ」「韓国はファンタジー」と、分析した記事を見た。 “正鵠を射た”指摘である。

(3) 捏造、歪曲の反日教科書で子供達に自尊心を植え付ける中・韓両国、これに対し自虐的教科書で子供達に罪悪感を刷り込む日本、この隔たりは年を追って広がる。 「明日への責任」を口にする政治家は今、如何なる「政治判断」を為すべきか、憂国の政治家なら答えは自明だと思う。 中・韓両国寄りの教科書優勢の現状を打破するために、近隣諸国条項を包含する「東京裁判史観」の排除に向けた「国民的合意」形成に渾身の努力をして欲しい。

(4) 望ましい教科書の観点から「点検項目」を大幅に増やした。追加項目は我が国の「歴史の精髄」と「喫緊の政治課題」である。 「男系による万世一系の皇統継承」「大東亜戦争の目的」等、指導要領の枠外の事項があるから、評定記号の「×」が多いことは予想しているが、そこには、言外に現行教科書の「不備を補う要望」の意味が込められている。 行間を読んでいただき、政治家の政治判断、教科書関係者の教育的判断の一助になることを願っている。
更に沈黙の校長以下教職員各位には「祖先と国に嫌悪感を抱き、日本国民であることに自信を失うような教科書では、教育そのものが成り立たない」と語ることを要望する。

        評価項目に対する教科書毎の評価一覧表(PDF)


評価項目に対する総合所見 

1 中学校社会科教科書(歴史的分野)の現状

 郷友総合研究所 教育研究委員会は、平成23年4月から施行された義務教育の社会科教科書(歴史的分野)の学習指導要領ではじめて改善の基本方針として、「我が国の国土や歴史に対する愛情をはぐくみ、日本人としての自覚をもつ」という記述が盛り込まれることになったことを踏まえ、まずは小学校の社会科(歴史)教科書の調査を実施、この結果については、平成24年4月に「これで、愛国心が育つか?」で記述した通りである。

検討した結果は、子供たちに圧倒的に使われている教科書ほど、とても「我が国の国土や歴史に対する愛情をはぐくみ、日本人としての自覚をもつ」という基本方針にそぐわない内容であった。

 今回は、中学校社会科教科書(歴史的分野)について、望ましい教科書という観点から「点検項目」を大幅に増やして調査を実施したところ、一部改善された教科書があるものの、中学生に96%以上使われている教科書ほど教育方針に反する自虐史観の強い内容である。(下図参照)

         

 また、中学校教科書の書き方についても、総じてカラフルな図表や写真を多用し、自虐的な教科書ほど史実を一面的な見方に偏向した記述内容となっており、バランスに欠けている。

 神話・建国の由来については、学習指導要領において、神話・伝承には国家の成立や国土の統一について興味をもちやすい物語が多く見られるので、それらを活用するように指導されているにもかかわらず、この記述が蔑にされている。

 また、初代天皇であられる神武天皇についての記述がなく、学習指導要領にある「天皇についての理解と敬愛の念を深める」が一部の教科書を除き、反映されていない。

 日本の伝統・文化について、文化面については各教科書ともに全時代を通じ詳細に記述されているが、国民の精神的支柱となった武士道精神についての記述がなく、教育勅語については歪められた形で記述している教科書がある。

 明治維新以後の近現代史については、総じて自虐的な記述になっている。
日清・日露戦争の意義について、説明不十分あるいは事実と反する記述をしている教科書がある。
台湾統治と韓国併合については、ほとんどの教科書が自虐的で事実と反する記述がされている。
ほとんどの教科書が、「支那事変」という用語を用いず、日中戦争と記述している。
ほとんどの教科書が、「支那事変」と「満州事変」を一連の紛争として記述している。
「大東亜戦争」という用語を使っていない教科書があり、また、大東亜共同宣言について触れていない、あるいは自虐的に記述をしている教科書がある。

 国家主権にかかわる課題については、ほとんど記述されていない、あるいは事実と反する記述をしている教科書がある。
憲法と自衛隊については、一部の教科書で自虐史観による戦争放棄を強調する記述となっている。
領土問題については、1社の教科書のみ記述されているが、他は全く記述がない。
南京事件については、ほとんどの教科書において事実に反する記述がされている。
慰安婦問題については、全教科書に記述がなく、改善されている。

 以上、中学校社会科教科書(歴史的分野)の現状について、概観したが、次に、中学校における歴史教育の改善点について述べる。


2 中学校における歴史教育の改善すべき点

(1) 神話・建国の由来

 「われわれが住む日本という国はいつから始まり、どのようにして形成されてきたのか」という問いは、歴史教育の根源ともいえるものである。
 世界各地では、それぞれの民族の遠い祖先が伝え残した神話があり、それが、育った風土によって、思想文化の根源となっている。

 日本人は、遠い昔から、温暖で四季の変化に富む天地の恵みに感謝をし、農業を中心とする産業・文化を育て、米を主食として大自然と一体になり、太陽(お日様)を一切の生命のおおみ親と仰ぎ、われわれが住む国を「日の本」と言ってきた。
 そして、人の世も大自然もすべて一つの家と思い、懐かしみあってきたのであり、これが、日本文化の最大の特徴と言える。

 日本の国の成り立ちは、古事記、日本書紀、風土記などに神話の形で書かれており、古代の人々が、自分たちが住む国土や自然、社会の成り立ちを古くからの信仰なども取り入れながらまとめられたものであり、一貫したストーリーとして大和朝廷の始まりにつながっている。
 建国の由来については、このような「記紀」の中の話と現存する神社(伊勢神宮、出雲大社、橿原神宮など)と結び付けて、子供たちの問いに的確に応えられる内容とするとともに国民の安寧をひたすら願う祭祀王としての天皇について理解と敬愛を深める内容を記述すべきである。

(2) 天皇
 天皇について国民の理解を深めるため、独立した1章が必要ではないか。
 125代を重ねた万世一系の天皇は、世界に類がないばかりではなく、「日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴」(憲法 第1章 第一条)であらせられる。
 天皇について体系的な知識を与え、日本人として国際社会においても正しく誇りをもって説明できるようにしておく必要があるからである。

(3) 日本の伝統・文化
 天皇について国民の理解を深めるため、独立した1章が必要ではないか。
 武士道精神は、単なる戦場で戦う武士のおきてとして生まれたのではなく、日本人として共通の忠義,勇気、信義、礼節、質素、誠実などの徳目に加え、古事記に書かれた「国譲り」の神話にみられるように、勝者が敗者に対して、名誉を与え、魂を鎮めるという古代からの日本人の考え方がその根底にあった。
 この勝者が敗者を讃えるという精神は皇室の伝統とも言えるものであり、明治以降の戦争においても各所でみられ、教科書に記述すべき内容である。

 教育勅語は、道義国家を確立するため、明治天皇が国民に語りかける形式をとっており、その内容は時代を超えた普遍的なものであり、大東亜戦争終戦まで日本国民の道徳規範・教育理念となっていたと記述すべきである。
一部の教科書では、勅諭の内容が正しく解説され、勅諭の口語文の抜粋が記述されており、各教科書とも記述すべきである。

(4) 明治維新後の戦争・台湾統治・韓国併合
 まず、明治維新は、欧米列強からの植民地化を免れるため、日本の独立を守るために、日本がとった歴史的選択であったことを明確に記述すべきである。

ア. 日清戦争・日露戦争の意義
 日本が、欧米列強からの植民地化を免れるためには、大陸から突き出た朝鮮半島がしっかりとした独立国家であることが必要不可欠であった。朝鮮は、当事、清国の属国であったのであり、日清戦争の戦争目的は、朝鮮の独立を清国に認めさせるための戦いであったことを明記すべきである。

 日露戦争の戦争目的についても、ロシアの侵略から朝鮮を守るためであり、かつ日本の国家存立のギリギリの危機を乗り越えた戦いであったこと及び日本の勝利がアジア・アフリカの人々を勇気づけ、列強の植民地になっていた国々に、その支配からの独立をめざす気概を与えたことを記述すべきである。

 また、1社の教科書では、日露戦争後、東郷平八郎連合艦隊司令官が負傷したロシア艦隊司令長官を病院に見舞ったことや旅順攻撃に勝利した乃木希典司令官がロシアの司令官と会見した際に敗軍の将官に特別の敬意を表し、軍人が、敵味方の別を越え、武士道精神にもとづいて振舞う礼節の心を持っていたと記述されているが、このような内容は全教科書に記述すべきである。さらに、国難に身をもって戦った軍人については、現存する神社(東郷神社、乃木神社等)と関連させて記述すべきである。

イ. 台湾統治・韓国併合
 台湾統治・韓国併合の記述については、何れも自虐的であり、極めて問題がある。
特に、韓国併合を植民地と記述、あるいは、韓国のインフラに対する日本の貢献については全く記述されていない。

 台湾統治については、後藤新平の土地調査の成功、インフラの普及、アヘンの根絶及び八田與一や鳥居信平のダム建設によって台湾の農業が著しく向上したこと、さらには現在にいたっても多くの台湾の人々が日本の統治について好意を持っていると記述すべきである。あわせて、台湾の人々の日本に対する思いは、2011年の東日本大震災時の台湾からの支援金の現状に現れていることについても、今後、記述すべきである。

 韓国併合については、当時、両国の合意した条約により統一した合邦国家となったのであり、日本が力を持って植民地化したというものではないことを記述すべきである。アメリカ、イギリスをはじめとする多くの列強諸国も当時、日韓併合を望んだこと、及びイギリスのメディアも自分たちの植民地を「colonization(植民地化)」と表現していたのに比べ、日韓併合を「annexation(併合)」と報じて区別していた等について記述すべきである。さらに、日韓併合後、韓国の教育普及およびインフラに日本が貢献するなど、欧米列強の植民地政策とは違っていたことを歴史的事実として記述すべきである。

ウ. 支那事変
 全教科書が、目次又は本文で日中戦争と記述している。日本が、政府として用いた用語は、あくまでも「支那事変」であり、この用語を使用すべきである。
 「満州事変」と「支那事変」は、別個の紛争であるにもかかわらず、多くの教科書が中国侵略の足がかりとして「満州事変」を捉え、「支那事変」に繋げている。

 「満州事変」については、事変のきっかけを日本軍が作為したことは事実であるにしても、事変前の満州においては、連日のように日本人に対するテロや暴力行為、あるいは、日本陸軍の中村震太郎大尉ら4名が中国軍に殺害されるなど、満州にいる在留邦人にとって危機感のピークにあったのもまた事実である。

 インドのパール判事の「満州事変」に対する意見書においても、「本官は、当時満州に存在していた事実ならびに情勢に照らして、さらに、当時存在していた国際法に鑑みて、日本の行動を犯罪的であると非難しようとは思わない」と結論付けており、さらに、満州事変は盧溝橋事件の4年前の停戦協定で終結し、支那事変との関連はないとしており、このような意見書も注書等で記述すべきである。

 さらに、満州国についても、昭和8(1933)年当初、満州国は国際連盟から認められなかったが、翌年の昭和9(1934)年には、ローマ法王庁が承認し、以後、満州国の発展とともに、連盟加盟国が次々と承認しており、昭和9(1934)年のイギリス産業連盟の調査報告書にも「満州国住民は治安対策の向上と秩序ある政府を与えられている。・・・近代国家が建設されつつある」と記述されている。

 また、盧溝橋事件後も、日本政府及び現地部隊は、一貫して不拡大方針をとっているにもかかわらず、中国軍が日本軍を一方的に攻撃する事件や中国軍の保安隊によって女性、子供を含む在留日本人220人以上が虐殺される通州事件がおき、さらに、上海で日本海軍陸戦隊の大山勇夫中尉ら2人が中国軍に惨殺される大山事件、引き続き、居留民保護のため上海に駐屯していた日本海軍陸戦隊に中国軍が本格的に攻撃してきたため、やむなく政府も軍を派遣し、事変が拡大していったのが支那事変の真相であり、これらを歴史的事実として記述すべきである。

エ. 大東亜戦争
 大東亜戦争という呼称を使っているかについて、一部の教科書においては、全く使用されておらず、アジア太平洋戦争又は太平洋戦争と呼称している。
 平成19年2月6日の衆議院議員鈴木宗男からの大東亜戦争の定義等に関する質問に対し、内閣総理大臣安倍晋三は、「太平洋戦争」という用語は政府として用いている用語ではないとし、「今次の対米英戦争は、支那事変をも含め大東亜戦争と呼称す」と答弁していることから、この答弁を記述すべきである。

 また、大東亜共同宣言は、米英に対し戦争に至った原因を正し、アジア諸国にとっては自存自衛のための戦争であり、かつ、植民地の解放と人種差別の撤廃、共存共栄と経済協力のための戦争であることを初めて内外に明らかにした、重要な意義をもつ公式な宣言であるにもかかわらず、ほとんどの教科書で全くとりあげていないか、あるいは自虐史観による単なる宣伝と捉え、日本の軍政は占領地の民衆を苦しめたと記述されている。
大東亜共同宣言は、日本とアジア諸国にとって、戦争の目的を世界に示した重要な意義を持つ宣言であり、戦後、世界が宣言どおりになったことを歴史的事実として記述されるべきである。

 戦後開催された第一回アジア・アフリカ会議(バンドン会議)での決議内容は、昭和18(1943)年開催の大東亜会議で決議された大東亜共同宣言と、その精神と内容において、同一のものであり、この席上で各国の代表は、日本側代表に対して異口同音に「日本が多大な犠牲を払って大東亜戦争を戦ってくれたお蔭で、今日我々は白人諸国と対等な立場でいれるようになった」と、感謝されている。

 日本とともに米英に宣戦布告したタイ国の元首相であったククリット・プラモードは、「日本のおかげで、アジア諸国はすべて独立した。今日、東南アジアの諸国民が、米・英と対等に話ができるのは、身を殺して仁をなした日本というお母さんがあったためである。」(抜粋)と発表している。

 また、東京裁判の最高責任者であったマッカーサーが、昭和26(1951)年5月3日に、米国上院軍事外交合同委員会において、「日本が戦争に飛び込んでいった動機は、大 部分が、安全保障の必要に迫られてのことだった(原文:”Their purpose therefore in going to War was largely dictated by Security”.)と証言している。

 戦後、アジア諸国や大東亜戦争の最大の当事者からこのような重大な発言がされているにもかかわらず、全ての教科書に全く記述されていないのは不思議と言わざるを得ない。これらの発言についても、歴史的事実として記述すべきである。
 我々日本人は、国家や家族のため、さらには、平和で平等な世界を築くために尊い命を捧げた先人の英霊のお蔭で、今日、世界の歴史が大きく進歩した中にあって、平和で豊かな生活を営むことが出来たということを子供たちに教えるべきである。

 ポツダム宣言受諾に関する記述については、原爆投下との関係が、日本政府がポツダム宣言をすぐに受諾しなかったために原爆を投下されたが如き記述は、自虐的であり不適切である。原爆投下は、多くの一般市民を無差別に殺傷させる国際法違反の行為であることを明記すべきであり、投下の原因が日本側にあるが如き記述はすべきではない。

 また、ソ連の千島列島占領がポツダム宣言受諾後であったことについても記述されておらず、ポツダム宣言受諾後の9月5日まで攻撃を続けていたことを明記すべきである。

(5) 国家主権に関わる問題

ア. 憲法と自衛隊
 憲法については、国家存立のため遵守すべき最高の規範であることを教えるとともに、このような重要な憲法が、大東亜戦争後の占領下において作成された憲法であり、国際社会で責任ある地位を占めるためにも、早急に自分たちの手によって、時代に即した憲法を作成しなければならないとする意見が高まっているという記述をすべきといえよう。

イ. 領土問題
 領土問題については、一部の教科書で記述されているが、この問題は国家の主権と独立、さらには、国防にかかわる最重要事項であり、わが国固有の領土については、その根拠について教科書でしっかりと教えなければならない。

ウ. 南京事件の問題
 南京事件の問題については、全ての教科書で虐殺に関する誇大な数字は記述されていないものの、ほとんどの教科書で国際的に南京大虐殺として非難されたと事実と反する記述がされている。

 当時の歴史的事実として明確なことは、南京陥落後、昭和13年1月に国際連盟理事会に中国代表により日本軍が2万人の民間人を虐殺したと提訴したが、認められなかった。「南京大虐殺」は東京裁判で、初めて問題にされ、しかもすべて伝聞によるものであり、当時の日本人が初めて知った。陥落時、多くの日本の報道関係者がいたが、誰も虐殺現場や大量の遺体を見ておらず、報告もなされていない。
陥落後、南京の人口は約20万人から1ヶ月後に約25万人に増えている。南京市内の治安が良くなったので、避難していた南京市民が戻ってきた。陥落後、南京の治安は急速に回復し、国際委員会から日本軍に対し感謝の書状が贈られている。

 さらに、最も重要な事実は、南京攻略時に日中両軍の指揮官がどのような行動を取ったかである。
日本側の松井石根司令官は南京を包囲した後、中国側の唐生智司令官に対し、国際法に則った降伏勧告をしているが、唐生智司令官は部隊を置き去りにして、一部指揮官等とともに南京を脱出、中国軍側をパニック状態にし、中国軍兵士が安全区にいる南京市民に対して掠奪・暴行・殺人行為を行い、武器を隠し持った国際法違反の便衣兵となっている。

 また、松井司令官は国際法顧問の斎藤良衛博士の意見を取り入れ「南京攻略要領」を作成、部下に対し「不法行為等絶対に無かしむる。 軍紀風紀を特に厳粛にする。略奪行為をなすものは厳罰に処す。」等の交戦法規遵守命令をだしており、不法行為を厳しく戒めている。そして、命令に違反したもの数名に対して死刑を含む重処分を課している。

 我々日本人は、少なくとも以上の歴史的事実を踏まえて、南京事件の問題について認識しておく必要があり、子供たちにも教えるべきである。

エ. 慰安婦問題
 慰安婦問題については、全ての教科書で反日プロパガンダ的な記述はされておらず、改善されているが、日韓関係においては、1965年6月の日韓基本条約によって、賠償問題については決着済みであることを記述すべきである。


3 新政府の教育再生に期待
 平成24年12月26日、安倍内閣による新政府が誕生し、その公約・教育再生の中で、「教育基本法が改正され、新しい学習指導要領が定められたが、いまだに自虐史観や偏向した記述の教科書が多くある。子供たちが日本の伝統文化に誇りを持てる内容の教科書で学べるよう教科書検定基準を抜本的に改善し、あわせて近隣諸国条項も見直す」と述べられている。

 当教育研究委員会としては、「近隣諸国条項こそ、我が国の歴史教育を歪める元凶」であるとの認識のもと、これまでも再三にわたって近隣諸国条項の破棄について主張してきたところである。その時機がようやく到来したとの思いである。

 また、我々は、これまで、「教科書問題を外交手段や政争の具に供してはならない。教育基本法第16条(教育は不当な支配に服することなく、・・・公正かつ適正に行わなければならない)の条文に則し真摯に取り組まなければならない。教科書検定基準に定める近隣諸国条項は、中国・韓国に対する政治的妥協の結果であり、両国の政治上の主張で我が国の歴史が曲げられ自虐的な教科書を生み出している。このような教科書で教育される生徒は、我が国の威信、日本民族としての矜持を持つことはできない。直ちに近隣諸国条項の束縛から解放して、真に我が国の歴史教育に相応しい教科書が輩出されるような環境を整備しなければならない」との提言をしてきた。

 そして、我々が基本的に考えている「歴史教科書」というものは、子供たちに日本という国家及び日本人という民族の誇りを涵養し、気概を鼓舞する「国民の物語」でなければならないということである。

 教育基本法の教育の目標には「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」と書かれ、学習指導要領の歴史的分野の目標においては「我が国の歴史の大きな流れを、世界の歴史を背景に、各時代の特色を踏まえて理解させ、我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を深める」と述べられている。

 しかしながら、解説書においては「日清・日露戦争」について、「これらの戦争において、朝鮮半島及び中国の人々に大きな損害を与えたことについて触れることが大切である」とし、また、「日華事変、我が国にかかわる第二次世界大戦」について、「これらの戦争において、我が国は、中国をはじめとする諸国に大きな損害を与えたことについても触れることが大切である」と記述されている。これらの先人の行為を否定するような記述を指導する解説書は、まさに、近隣諸国条項におもねる指導であり、教育基本法の教育の目標や学習指導要領の歴史的分野の目標の主旨にも反するものである。近年、大きな社会問題となっている「いじめ」についても、日本人としての誇りを持ち得ない教育の欠陥がその大きな要因となっているのではないかと思う。

 新政府は、近隣諸国条項及びこれまでの謝罪談話の束縛から解放して、真に我が国の歴史教育に相応しい「国民の物語」となるような教科書が輩出される環境を整備するよう心から願わずにはおられない。


あとがき 目指すは「脱・東京裁判史観」

 大東亜戦争開戦50年、節目の年に当たる平成3年4月、海部首相(当時)は東南アジア諸国を訪問。シンガポールで講演を行ったが、その際、次のような挨拶をした。
 「私は改めて今世紀の歴史を振り返り、多くのアジア・太平洋地域の人々に耐え難い苦しみと悲しみをもたらした我が国の行為を厳しく反省する。」

 この言葉を聞いた知日派の人々は強い衝撃を受け失望した。女性記者の談話を書く。
「欧州の国は500年にわたってアジア・アフリカを搾取した。しかし彼等は決して謝罪しないし、賠償金も払わない。日本が謝罪するのは外交音痴だ。もしこれがイギリスや中国だったら海部は利敵行為をした売国奴だ、と罵倒されるだろう。」

 日本に好意的な人々を余計な言葉で落胆させた海部氏は、確かに外交音痴だ。同時に驚くべき歴史音痴でもある。それから約20年。中・韓に媚態を示す政治家が増えている。我々はそこに東京裁判の影響を見て、標題の「脱・東京裁判史観」は喫緊の課題であると位置づけた。

 本報告書が東京裁判の後遺症払拭と、教科書改善運動推進に役立つことを願っている。

1 東京裁判の主役3人の証言 ― 「侵略」を「自衛」に判定を変更

(1) マッカーサー元帥の証言
* 日本が戦争に飛び込んだ動機は、主として安全保障の必要に迫られてのことである。
* アメリカが過去100年に太平洋で犯した最大の政治的過ちは、共産主義がシナにおいて勢力を増大していくのを黙過したことである。

 東京裁判実行の最高責任者マッカーサーが昭和26年、米国議会において大東亜戦争における日本の戦争目的を「侵略」から「安全保障(自衛)」に変更した。東京裁判史観脱却の運動にとってこれ以上有り難い「お墨付き」はない。まさに「錦の御旗」である。

 また明治以来、日本が担ってきたロシア(ソ連)に対する「防共防波堤」の役割に対する理解は日清戦争から大東亜戦争に至る過程での戦争・事変に関連する重要な指摘である。

(2) 東條大将の宣誓供述書
* 戦争が国際法より見て正しい戦争であったか否かの問題と、敗戦の責任如何の問題とは、明白に区別できる二つの異なる問題であります。第一の問題はこの戦争は自衛戦であり、現在承認せられたる国際法には違反せぬ戦争なりと主張します。
第二の問題、すなわち敗戦の責任については、当時の総理大臣たりし私の責任であり、真心より進んでこれを負荷せんことを希望するものであります。

 開戦責任と敗戦責任を区別し、前者については国際法に照らし「責任なし」、後者については日本国民に対し「進んで責任を負う」と明確に述べている。法理に即した正論である。
 東條大将に対する好き嫌いの感情は抜きにして、政治家が学ぶべき責任の取り方だ。

(3) パール判事(インド)証言
* 戦勝国は敗戦国に対し、憐憫から復讐までどんなものでも施し得る立場にある。
しかし戦勝国が敗戦国にあたえることのできない、ただ一つのものは正義である。
* 時が熱狂と偏見を和らげた暁には、理性が虚偽からその仮面を剥ぎ取った暁には、その時こそ正義の女神はその秤を平衡に保ちながら、過去の賞罰の多くに、そのところを変えることを要求するだろう。

 日本無罪論を訴えたパールは、東京裁判が戦勝国による「華麗な復讐劇」であることを見抜いていたのであろう。
「熱狂が冷め、理性を取り戻した暁」に、東京裁判自体の違法性や判決の過ちを指摘する裁判関係者の声が続々と出てきた。
* 日本を厳しく告発したキーナン主席検事(米)「東京裁判は公正ではなかった。」
* 連合国寄りの訴訟指揮をしたウェッブ裁判長(豪)「東京裁判は誤りであった。」
* レーリンク判事(蘭)「東京裁判には法的手続きの不備と、南京大虐殺のような事実誤認があったが、裁判中は緘口令がしかれていて言えなかった。
* パール判決書を読んだ東條大将の和歌
百年の後の世かぞと思いしに、今このふみを眼のあたりに見る

(4) 再びパール判事の発言
* 原爆を落としたのは日本ではない。落とした者の手はいまだに汚れている。一民族が自らの歴史に罪の意識を持つ限り、その民族に未来はない。日本の子弟が東京裁判によって歪められた罪悪感を持つ限り、卑屈、退廃に流れることを見逃すことは出来ない。

 広島の原爆碑碑文「安らかにお眠りください。過ちは繰り返しませぬから」を見たパール判事の言葉である。これは国民精神の「安全保障問題」だ。我が国の自存自衛のために子供達が背負っている罪悪感という重荷を取り除くこと、それは第一義的には政治家の責任である。

(5) 米国軍人の原爆投下批判
* 欧州戦線を指揮したアイゼンハワー連合軍最高司令官(米国/後に大統領)。
日本は敗戦濃厚で、原爆の使用はまったく不必要だという信念をもっていた。
* ハルゼー米国第三艦隊司令長官「原爆投下は、まったく必要のない実験だった。」
* 大統領補佐官リーヒ海軍大将(米国)
(原爆投下によって)我々は暗黒時代の野蛮人並みの倫理基準を選んだことになる。

 米国首脳の原爆投下批判から日本人は「一方的に敵を裁く。だが敵からは裁かれない」という東京裁判の本質に気付く必要がある。それが東京裁判から離れる第一歩である。

2 人種平等の宿願達成―オリンピック参加国の今昔
 我が国は不幸にも戦闘には敗れたが、@自存自衛Aアジアの植民地解放という戦争目的は、見事に達成した。
@は貧困を脱して経済大国の仲間入りをした。Aは世界地図を見れば一目瞭然、アジアに欧米の植民地は存在しない。

 振り返れば、明治の近代国家成立以来、我が国が一貫して独力で堅持した悲願は「人種差別撤廃」だった。大正8年、第一次世界大戦後のベルサイユ会議において、当時三大海軍国といわれる地位を占めた日本は、国際連盟規約に「人種平等規約」を盛り込む提案をした。

 挙手による採択では賛成多数だったにも拘らず、「全会一致」ではないことを理由にする白人の抵抗を受けて否決された。当時の国力としては如何ともし難い結果である。

 人種平等は今や自明の理となった。オリンピック参加国の数がそれを物語っている。昭和11年のベルリン大会は国家主導による国威宣揚の舞台だったが、その空前の盛況といわれた大会に参加したのは約50ヶ国だった。それが直近のロンドン大会には、200も超す国と地域が参加、人種差別なきスポーツの祭典となっている。発展途上国選手の活躍も目覚ましい。

 日本が「人種平等」の旗を高々と掲げ孤軍奮闘、敗戦というダメージは受けたが白人支配時代の終焉に寄与したことは事実だ。誇りを持って語り継ぐべき歴史の一齣である。

3 講和条約締結とアムネスティ(大赦)効果―戦犯釈放を願う国民の熱意
 昭和27年4月28日、サンフランシスコ講和条約発効、7年に及ぶ占領の桎梏を解かれ独立を回復した記念の日だ。同時に「大赦効果」も成立するのが国際法の慣例だった。

 だがこの講和条約には第11条(日本政府による刑の執行停止の阻止)が付いていた。これに対し我が国は国内では国会決議で国民の決意を示し、条約締結国へは釈放了解を得る手続きを重ね、昭和33年5月末までに全ての「戦犯」を釈放することができた。
注目すべきは講和条約締結後も、拘禁中の受刑者がいることを知った国民感情の噴出だ。4000万人の署名集め、左右両社会党議員が名を連ねた「受刑者釈放決議案」。人気歌手渡辺はま子の「ああモンテンルパの夜は更けて」の熱唱等々、挙国一致の行動を示す例は多い。

 日本独立回復から62年、我が国は未だに「A級戦犯合祀」を國神社参拝忌避の理由にする政治家が多いが、不勉強も甚だしい。A級戦犯の重光葵元外相は禁錮7年を宣告されたが、出所後鳩山一郎内閣の外相となり、死亡時には国連理事会が黙祷を捧げ弔慰を表している。

 また講和条約11条の解釈について、英語・フランス語・スペイン語訳が「判決の受諾」としていることから眼を逸らし、日本語訳の「裁判を受諾」を振りかざして宮沢・河野・村山・菅談話をもちだし、解決済みの補償問題を蒸し返す政治家大勢いる。外国が大赦効果を認めているのに、我が国の政治家が東京裁判史観に固執する。これは不可解な現実である。

4 愛国心(国家の威信)と国益(経済的利益)
 兵法書『孫子』は「百戦百勝」は次善、「戦わずして勝つ」ことを最善とする。そのうえで「不戦勝利」の有効な戦術として、相手方の中枢にいわゆる「獅子身中の虫」を培養し、内部崩壊に導くことを挙げている。最近は与野党問わず「リベラル」の衣を羽織った政治家が多くなった。「尖閣国有化」以降、河野元衆院議長を先頭に与野党のリベラル派要人や経済界重鎮の中国寄り言動が目立つ。端的に言えば国家主権(領土)より経済活動重視である。

三島由紀夫に憂国の予言がある。
* このままいったら日本はなくなって、代わりに無機質な、空っぽな、ニュートラルな中間色の、裕福な、抜け目のない経済大国が、極東の一角に残るだろう。

 三島の自決は昭和45年、それから40年余り、今の日本には無機質な人間が増えている。
日本人が頼みの綱とした経済大国が借金大国に転落した。この危機的状況に直面しても、挙国一致の体制をつくれない日本の国情に、中・韓両国首脳は高笑いだろう。

 日曜日の朝、テレビの政治番組で最近の憂慮すべき日中関係に関連し、河野氏の次の発言を耳にした。「小さなナショナリズム(尖閣国有化)で、大きな国益を失う(要旨)」。領土で譲歩しても経済上の利益を取れ、とも聞こえる前衆議院議長の言葉に強い憤りを感じた。

 この言葉には経団連会長始め財界、政界、言論界等の要人が同調している。だが一般の国民感情は「領土を守れ」だ(某紙の世論調査90%)。
石原元東京都知事が尖閣購入の意思表示をした途端、短期間で14億超の巨大な寄付金が集まった。

 「愛国心」と「国益」の上下関係を考える方程式を見つけた(若干修正を加えた)。
国力=(A:人口+領土+軍事力+経済力)×(B:国家目的+戦略+実行する意志)
(国民の士気や指揮官の能力は実行の意志に含めた)
 AとB二つの変数の掛け算が国力だとすれば、Bの数値が「0」だったら国力は「0」となる。

 日本に明確な国家目標があるか、外交や防衛、国民の愛国心に国家の強い意志があるかと考えると、国力の数値は中・韓両国に大差をつけられているのではないか、と心配だ。
 経済的利益を愛国心の上に置く「逆立ち現象」も終戦後に仕掛けられた日本無力化を狙う銃声なき戦争(占領政策)の後遺症である。

5 国辱的な河野談話 ― 慰安婦は高給取りだった
 教育的には教科書改善の必要度が圧倒的に高く、政治的には一触即発の睨み合い状態にある「慰安婦問題」を取り上げる。(南京虐殺は「第3 評価項目に対する総合所見」参照)。

※韓国併合後の朝鮮人は当然日本人であるが、ここでは朝鮮人と日本人に分けて記述する。
 日本政府が纏めた調査報告書の結論は「軍・官が関与する慰安婦強制連行」の資料なしだった。このことは絶対に譲ってはならない慰安婦論議の前提である。

 大東亜戦争の敗戦国となった我が国は昭和26年、サンフランシスコ会議において米・英以下多数の国々と平和条約を締結したが、日本の一部だった朝鮮は条約に参加していない。ことで昭和40年、日韓基本条約を締結し同国との戦後処理を終了した。その際、韓国は日本から無償で3億ドル、有償で2億ドルの資金を受け取り、財産及び請求権に関する問題は完全かつ最終的に決着したことを確認した(当時、韓国の外貨準備高は1億3000万ドル)。従って法的にはその後発生した個人の補償問題の処理は当然、韓国政府の責任である。

 だが平成5年、宮沢内閣の河野官房長官は密室で元慰安婦の訴えを聞き、それを丸呑みにしていわゆる「河野談話」を発表した。最近、河野談話棚上げの意見が表面化すると河野氏は、「当事者が辛い体験を語ったのは、こちらを信頼したからだ。証拠がなかったのに、という批判は、それを裏切ることになる」という趣旨の発言をした。

 開いた口が塞がらないとはこのことだ。河野氏は元慰安婦との信頼関係を大事にして、国家の威信、国民の名誉を忘れたのである。無責任な外交姿勢である。洞察力も不足だ。元慰安婦が体験を喋ったのは、金が欲しいからと見るのが常識だ。補償額も誇張した金額だと思う。

 「まえがき」に韓国の歴史観は願望で歪んだファンタジーだとの見方を載せた。従って事実を語らなければ我が国が一方的に「悪玉」になる。だから分かり易い反証を挙げる。

(1) 朝鮮半島に住む人々の中で日本人が占める割合は2%弱。つまり日本人は圧倒的多数の朝鮮人に囲まれて暮らしていたのである。社会的地位を見ても警察署長、裁判所の判事・検事や朝鮮総督府の局長・部課長、さらに軍人にも多くの朝鮮人がいた。
 このような状況下での官憲による「強制連行」は常識では考えられない。またテレビに映る些細な事に日の丸を燃やし、大声を張り上げる反日デモの光景から類推すれば、朝鮮人が身近な女性の「慰安婦狩り」を黙って見過ごすことは、到底考えられない。

(2) 手元に慰安婦募集の広告がある。そこには「月給300円」と書かれている。当時の巡査の初任給が45円であるから破格の待遇である。更に前借も「3000円迄可」とある。借金で苦しむ親を助ける身売りが多かったが、前借を返せば自由の身。休日にはスポーツやピクニックに参加する者もいたし、一旗挙げるための資金稼ぎにせっせと貯金する慰安婦もいた、という記事を見た。要するに「性奴隷」という非難は的外れも甚だしいと言いたい。

6 占領下でも余裕たっぷりの自己主張 ― 吉田首相の気迫
 ヘレン・ミアーズ(米国の歴史学者。GHQ勤務の経験あり)の証言。
日本は当時の国際慣行を律儀に守り、、それに促されて行動したのだ。日本の総督が韓国の首都で行政権限を与えられていたのは、すべて韓国と締結した条約に基づくのである。
 「律儀に守り」を素直に読んで欲しい。法的手続きに齟齬がなく米英両国の了解も得た日韓併合条約による「韓国統治」であった。それを「植民地支配」と同一視する政治家が相当数存在することは、まことに嘆かわしいことである。また韓国は「日帝16年の悪政」と大声を張り上げるが、事実は反対だった。善政の一例は教育の普及である。

 併合当時、身分制度の厳しい韓国人の約8割は当時の言葉で言えば「文盲」だった。「ハングル」も廃れていたが、それを整理し普及させたのは日本人である。我が国は猛烈なスピードで学校を建設し、初等・中等学校の数を増やした。そして大正13年には我が国第6番目の帝国大学である京城帝国大学(現ソウル大学)を創立した。大阪帝国大学の創立は京城帝大から遅れること7年の昭和6年である。

吉田茂首相の痛快な発言を取り上げる。
 昭和25(1950)年、警察予備隊設置(自衛隊の前身)。韓国の李承晩大統領がマッカーサー連合国軍総司令官に「日本軍国主義復活の懸念」を強く訴えた。そのことを伝えたマッカーサー元帥に対し、吉田茂首相は呵々大笑し、大要次のように答えたという。
 日本が再び軍隊をもって朝鮮を征服するなんてことは金輪際、考えられない。
 朝鮮が独立し、日本は身軽になってホッとしている。
 「身軽になってホッとした」とは併合前の5年を含め40年間、日本政府は朝鮮半島へ毎年15~20%の財政補填を行なっていたことを皮肉った言葉である。掠奪、搾取、酷使等の植民地イメージとは正反対の統治だった。絶対的権力者が伝えた韓国大統領のメッセージを敗戦国首相が一蹴した。それは勝者と敗者という立場を超えた、信頼関係があるからこそできる対応だ。その信頼の源泉は「国家の運命を担う責任感」だと思う。

7 言論の自由のダブルスタンダード
ア. 一、しろじに あかく ひのまる そめて ああ うつくしい にほんの はたは
  二、あおぞら たかく ひのまる あげて ああ うつくしい にほんの はたは
イ. 一、白地に赤く 日の丸染めて あゝうつくしや 日本の旗は
  二、朝日の昇る 勢見せて あゝ勇ましや 日本の旗は

ア=平成24年発行の某社教科書。 イ= 昭和6年発行の国定教科書(漢字ルビ付き)

 小学校学習指導要領「音楽」の第1学年の共通教材に「日のまる」(文部省唱歌)がある。
指導要領は括弧書きで「文部省唱歌」となっているが、現在のX社の教科書の二番はイの「勇ましや」の部分を、一番と同じ「うつくしい」に修正している。

 児童の感性に強く響くという点では、「美しい」の繰り返しより、「美しい・勇ましい」と形容詞を二つ使う方が優れていると思う。とすればこの修正は改悪ということになる。
 それが検定意見によって変えたのが、編集者の自発的意志によるかは定かではないが、そこに左翼勢力からの“風圧”を感じるのである。

 この種の修正は一教材の瑣末な問題ではなく、蓋然性が高い教科書全般の問題となっている。伝聞では、一社の中学教科書に「日本は自衛のために戦争に飛び込んだ」という「マッカーサー証言」を載せようとしたが、教科書調査官が難色を示し取り止めたとされている。
 付言すれば国定教科書の時代、国語はカタカナから系統的に「言語教育」を行なっていた。
だが完成や情操を陶冶する音楽では、低学年からルビ付漢字・文語文を多用していた。このことで耳で聞く日本語の快さを実感させると共に、子供に向学心があれば大人向けの新聞、雑誌、単行本への関心も高まった。今日の「基礎基本」と「発展的学習」の関係である。

 言葉の二重基準についての例を挙げる。
@ 憲法改正、集団的自衛権は話題にしただけで「右傾化」と警戒されるが、憲法改悪反対、脱原発、卒原発、反原発の声は賑やかである。
A 米兵の少女暴行事件を理由にオスプレイ配備反対のデモは見られるが、一般のヘリコプターと比較し、速さ=2倍、貨物運び=3倍、行動半径=4倍の性能を持つオスプレイ配備賛成。米兵の軍律の問題とは次元が違うという声は聞こえてこない。
B 戦争における勇戦奮闘の話は「戦争美化」「軍国主義復活」「いつかきた道」等のレッテル貼りで押さえにかかるが、戦争の醜悪面は野放しで言いたい放題である。
C 田母神俊雄・航空幕僚長(当時)は「日本は良い国だ」と書いたら即座に更迭された。「日本は侵略国だ」と言えば無難だったのに・・・。

8 「美しい日本を取り戻す」ために
(1) マッカーサーが大東亜戦争開戦を「自衛」のためと認めた。識者も裁判の違法性を強く指摘している。この点の周知徹底を図り、速やかに東京裁判の呪縛を断ち切ること。

(2) 国際法であるハーグ条約は「占領者は占領地の法律を尊重し占領行政を施行する」ことを規定している。日本国憲法がGHQの押し付けであることは周知の事実だ。しかも「平和を愛する諸国民の公正と信義に期待し・・・」など偽善性が強い。我が国の近隣には平和、公正、信義に反する国家がある。従って憲法9条廃止を含む新憲法制定の端緒を開くこと。
福田恆存の言葉「国家を収容する牢屋はない」(国家間の利害調整は難しい)。

(3) 文民統制=政治主導が、政治家の傲慢であることを民主党歴代の防衛大臣が証明した。「武」と「文」は本来「車の両輪」だ。「武」と互角に渡り合える「文」による統制でなければ、「軍の誇り」は保持できないのではないだろうか。
孫子はいう。「三軍の権(運用)を知らずして、任(指揮)を同じくすれば軍士疑う」と。

(4) 「選良」たる政治家は「ノーブレス・オブリージュ(地位に伴う責任・義務)の概念を心に刻み、出処進退を潔くすること。

(5) 中学校国語教科書に載せたい「國の母」の、目頭が熱くなるような詩の一部を掲げる。
いとし子よ、ラングーンは落ちたり。いざ、汝も勇ましく入城せよ、姿なく、声なき汝なれども、(中略)いざ、今日よりは母のふところに帰りて、安らかに眠れ。幼かりし時わが乳房にすがりて、すやすやと眠りしごとくに。


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これで愛国心が育つか?

   
第6学年用社会(歴史)教科書の検討

平成24年4月

一般社団法人 日本郷友連盟

郷友総研 教育研究委員会


まえがき  多様な歴史観と小学校の歴史教科書

吹き荒れる中国の反日デモ―中国から見れば、戦後半世紀に及ぶ愛国心(反日)教育の見事な結実であり、我が国から見れば、卑弥呼の朝貢外交より卑屈な謝罪外交の帰結である。

 テレビが映し出す暴徒と化した群衆―それを見ながら孔子や孟子の嘆きを考えた。
 明治・大正・昭和・平成という元号は時代に即した国家理想を、また幕末の藩校、例えば、水戸の弘道館(人能ク道ヲ弘ム/論語)、会津若松の日新館(日々新タナリ/論語)、萩の明倫館(人倫ヲ明カニス/孟子)、鶴岡の致道館( 其ノ道ヲ致ス/論語)、熊本の時習館(学ンデ時ニ之ヲ習ウ/論語)等は、建学の精神をそれぞれ中国の古典に求めている。

 日の丸を燃やして気勢を上げ、我が国の在外公館や企業のビルに投石する無礼と蛮行、そこには孔子が説く道徳の根本原理とした「忠恕」の精神(真心と思い遣り)は微塵もない。
 日本が道義と礼節の手本とした中国四千年の文化が、僅か半世紀の理不尽な反日教育で、その精神が跡形もなく消滅したのである。「文化断絶」の恐ろしさは“対岸の火事”ではない。
 道義と礼節を失えば国際社会における信用が下落する。反日デモは我が国の歴史を軽んじる教育に対する警鐘と受け止めるべきだろう。“他山の石”として謙虚な反省が必要だ。

※(社)日本郷友連盟・郷友総研教育委員会作成の研究報告書『日本の再生は愛国心教育にあり』(第2年次/平成17年5月)からの引用文に、若干の修正を加えた。
 中韓からの威嚇に対する7年前の所見がそのまま通用する。その間、日本は事ある毎に謝罪を繰り返した。だが事態は改善されていない。むしろ中韓両国との関係は一層険悪になった。

1 近隣諸国条項は痛恨の極み

 前回の『報告書』(平成23年4月)の「まえがき」から冒頭部分を引用する(要旨)。
「焔々(えんえん)を滅せずんば、炎々(えんえん)を若何(いかん)せん」という中国の古語がある。蝋燭の焔のような小さな火でも、放って置くと”紅蓮の炎”となって燃え盛り、手に負えなくなる」という意味である。
この古語は、我が国が直面している歴史教科書問題の根元を簡潔明瞭に指摘している。

 昭和57年夏、高校歴史教科書の検定で、大陸への日本軍の「侵略」が「進出」に書き替えられたと一紙が報道すると、全マスコミが同調、それに呼応し中韓両国が猛然と抗議をするという騒動が起こった。文部省は直ちに国会において「その事実はない」と明確に否定したが、それにも拘らず宮澤官房長官は、文部省の頭越しに検定基準を改め、教科書は「近隣諸国に配慮する」という趣旨の談話を発表した。一時凌ぎの“事なかれ主義”が「一犬虚に吠え、万犬実を伝う」(嘘から出た真)となって、世界中に発信されたのである。

 初期消火を怠った宮澤官房長官談話(近隣諸国条項)は、河野官房長官談話(従軍慰安婦肯定・謝罪)から村山首相談話(侵略肯定・全面謝罪)へと燃え移り、更に政権交代のあった平成22年の夏には、菅首相談話(日韓併合謝罪)へと飛び火し、ますます燃え盛っている。

 この間、我々は教科書改善及び歴史教育正常化の第一歩は、近隣諸国条項の破棄であるという提言を繰り返してきた。だが残念ながら実効は見えない。まさに痛恨の極みである。屈辱的な政治判断で歴史を歪める愚行を続ける限り、「侵略国家」の汚名を雪ぐことはできない。

2 臆病な譲歩がもたらす最悪の結果

 マキャベリの『君主論』に触れる。マキャベリズムというと「権謀術数・奸計・奇策」の代名詞として使われることが多い。だが国家の究極の理念は「夜警国家」だといわれている。敷衍すれば君主(宰相)の使命・責務は国民の“安眠確保”ということになり、更に換言すれば君主とは、国民の“安眠を脅かす敵”に勝つことを求められる人ということになる。

 次にマキャベリ語録から君主(宰相)を対象とした名言を掲げる。
 君主は自らの権威を傷つけるおそれのある妥協は、絶対にすべきではない。(中略)
正面衝突を回避したい一心で譲歩策をとったとしても、結局は回避などできないからだ。
 以下、譲歩がもたらす結果の記述が続くが、スペースの関係で意訳して掲げる。
(1) 譲歩を重ねても相手は満足しない。譲歩によって貴方への敬意を失った相手は、貴方への敵意を一層露骨に現し、より多くのものを奪ってやろうと思うようになる。
(2) 思慮(洞察)を欠いた譲歩によって示された貴方の弱みは、味方になり得た人々をも失望させ、その人々を冷淡にさせてしまう。

 日本という国家の威信低下と、日本国総理の権威失墜、それに対する思慮を欠いた宮澤談話に始まる謝罪談話の影響は、中韓両国の執拗で威丈高な言動と、慰安婦や南京事件に対する同盟国アメリカの冷淡な対応に、如実に現れている。“正鵠を射た”マキャベリの警告は、組織の規模の大小に拘らず指揮官(組織の長)と参謀(補佐役)の指南書として通用する。

3 教育基本法・学習指導要領・教科用図書検定基準の整合性

 平成18年12月、安倍首相の強い意向により、保守陣営の宿願であった教育基本法改正が実現した。新教基法の第2条(教育の目標)には「公共の精神」「伝統と文化を尊重」「我が国の郷土と国を愛する」などの文言が盛り込まれている。

 平成20年3月、教基法改訂の趣旨を踏まえた小学校学習指導要領が告示された。旧小学校学習指導要領―社会―第1目標―には「我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め」と書かれていたが、この文言は新学習指導要領にも引き継がれている。更に「社会」第6学年の目標には歴史や伝統を大切にすること、国を愛する心を育てることなどの文言がある。

 新学習指導要領との整合性を図るため、並行して教科用図書検定基準も改訂され、学習指導要領の目標を達成する観点から、教科用図書の審査を行うことを明確にした。この一連の改訂は近隣諸国条項による外圧から後退を余儀なくされてきた検定が、ようやく本来の姿に反転したとの期待を保守陣営に抱かせた。だが不安は消えない。問題は“政治決断”だ。
 
4 歴史に対する理解と愛情を深める教科書

 小学校のいわゆる「歴史教科書」に対する我々の基本的な考え方を述べる。

(1) 判断力が未熟な子供が使う義務教育段階の歴史教科書(以下、教科書)と学術論文・研究  図書は別物である。教科書では当然、学問・表現の自由は制限される。したがって教科書では特定の歴史観(あらかじめ用意された歴史観)を絶対視してはならない。

(2) 「国家」とは高度の抽象概念であり、子供達は国旗・国歌・歴史・国語・音楽・道徳等の学習、伝統的な風俗・習慣、行事・儀式等の具体的な体験を通し徐々に概念が明確になる。この概念形成の過程において歴史教育(中心は教科書)の影響が大きいことは自明である。したがって教科書は「健全な国家概念」の形成に寄与するものでなければならない。

(3) 教科書を歴史観対決の標的にしてはならない。まして政治・外交の駆け引きの具に供することなどは論外である。教科書論争の焦点は教育的見地に立った「教科書としての適否」に絞り、他の要素を排除することが肝要である。その際の「教科書評価」の拠り所は第一に学習指導要領、次に教科用図書検定基準である。

(4) 戦争における政治・外交的観点からの成功・失敗、軍事的観点からの戦略・戦術の巧拙と、戦争そのものを全面否定する人道的・倫理的観点は峻別する必要がある。戦争という超非常事態に遭遇した人間は、しばしば「極限の姿」を露呈する。一つは普段は極力自制していた「おぞましい蛮行」であり、一つは昔から「崇高な価値」とされてきた「内心に潜む美質」である。前者を肥大化し後者を矮小化してはならない。

(5) 「ヒストリー(歴史)はストーリー(物語)である」という語呂合わせ的な表現は、教科書の性格を明確に示している。したがって教科書は、子供達に日本という国家及び日本人という民族の誇りを涵養し、気概を鼓舞する「国民の物語」でなければならない。
  なお、小学校段階の子供に歴史に対する理解と愛情を育てる方法論において、国民の物語に相応しい人物の選択とその取り上げ方、及び教師の話術は極めて重要な要素である。

5 歴史記述の多様性―日本は物語、中国は宣伝、韓国は幻想

 「歴史追究の過程は学問だが、結論の記述は文学あるいは宗教の告白である」という言葉がある。後段は組織拡大の宣伝文句、時流に阿る政治家の自己保身、経済的利益優先の企業論理と読み替えてもいいだろう。我々はこの歴史の記述の多様性を踏まえた上で、小学校教科書の性格として上記のように「ヒストリーはストーリーである」を選んだ。

 ところが中韓両国は、我々とは全く異質の歴史観の共有を強要している。その根拠は近隣諸国条項を内包する「東京裁判史観」である。改めて中韓両国の主張を概観する。

(1) 共産党支配の中国は冒頭で述べたように「忠恕」の精神を喪失した。我が国に忠恕の精神がどの程度残っているか疑問だったが、今回の大震災は、大半の日本人がその心を忘れていないことを示した。孔子の教えの正統性は日本人が引き継いでいるのではなかろうか?

(2) 日本に対し儒学の兄弟子を自負していた韓国人も、忠恕の精神を捨てたとしか思えない。
最近「何でもかんでも韓国発祥だ」と唱える歴史観が登場した。孔子、漢字、漢方医学、活字印刷、端午の節句から釈迦まで、全て韓国が発祥地だと言い張って譲らない。これに対し中国の若者がインターネットで、韓国を強く批判したという報道を見た。

(3) 日本も中国同様、韓国の「何でも歴史観」の被害を受けている。柔道、剣道、茶道、華道も発祥は韓国であり、日本の皇室の先祖も韓国出身だと言い出した。雑誌に「高天原故地」と刻んだ巨大な石碑の写真が載っていたのをみて、我が目を疑った。

(4) 中国は韓国の歴史観を「歴史の捏造」「他国の歴史を奪う」と非難する。だが中国も捏造
や奪取を恥じることのない国だ。食料品ではコシヒカリ、ひとめぼれ、松阪牛、讃岐うどん等の世界的に有名な商標が、勝手に登録された。被害は外国企業にも及んでいるという。

(5)日中合同歴史研究でも「南京事件」について、日本側は二万から二十万まで各資料の数字を列挙したが、中国は「三十万人虐殺」の一点張りだという。「白髪三千丈」の誇大表現が罷り通る国では常識外れの数字が堂々と「正史」になる。だから看過してはいけない。

(6) これらの事実を某雑誌が日中韓三国の歴史観の違いを「日本はストーリー」「中国はプロパガンダ」「韓国はファンタジー」と、分析しているのを見た。

6 挙国一致で国難打破と武士の勇戦奮闘(国民の物語の記述例)

●昭和初期の尋常小学校『国史』教科書(第6学年用)「北条時宗」

(前略)敵兵は壱岐を侵して博多にせまりしが、菊池武房、河野通有等の勇士、或いは石塁に拠りて之を防ぎ、或いは敵艦を襲いて之をなやましたり。…(元の大軍が)まさに攻めよせんとせし折しも、大風にわかに起こりて、敵艦多く沈没し、溺れ死す者数を知らず…世に之を弘安の役という。この二度の役は、まことに我が国始めての大難にして亀山上皇は大いに之を憂えたまい。かしこくも御身を以て国難に代らんことを伊勢の神宮に祈りたまい、時宗は大いなる決心を以て事にあたり、国民も皆奮いおこり、上下心を一にして、遂にこの強敵をしりぞくることを得たり。
(現行の漢字の字体と仮名遣いに直した)

 視覚教材は情景を一目瞭然にする。だが時代背景や人物の心情の推察は文章の方が優位だ。「元寇」の学習目標の第一を武士の勇戦奮闘と挙国一致とすれば、目標に合致し、かつ想像的活動も気概の涵養も期待できる物語の参考例である。偏見を持たずに検討していただきたい。



評価項目に対する総合所見

1、小学校社会科教科書(歴史分野)の現状

 郷友総研 教育研究委員会は、小学校の社会科教科書(歴史分野)の記述が、平成23年4月1日から全面実施された学習指導要領の改善の基本方針の一つである「我が国及び世界の成り立ちや地域構成、今日の社会経済システム、様々な伝統や文化、宗教についての理解を通して、我が国の国土や歴史に対する愛情をはぐくみ、日本人としての自覚をもって国際社会で主体的にいきる」という部分に合致したものになっているかどうかを今年度の研究課題として取り上げた。

 その理由として、第一に平成23年4月から施行された学習指導要領ではじめて、「我が国の国土や歴史に対する愛情をはぐくみ、日本人としての自覚をもつ」という、「愛国心」についての記述がようやく盛り込まれるに至ったこと、第二に小学校の歴史教育について、義務教育段階における初めての通史を学ぶ機会であるにも関わらず、中学校の歴史教育に比べて検討されることが少ないからである。

 今回の調査を実施して、我が国の小学校社会科教科書(歴史分野)を一言で表現してみる。
 我が国がどのように始まり、国難において先人たちがどのような苦闘を乗り越え、現在に至っているかという歴史教育の根本があやふやなまま、日本の文化については、写真や資料を掲げて詳細に記述しているものであるため、義務教育段階で初めて日本の歴史に触れる小学生に充分に通史が伝わるものとなっていない。

 日本の文化については、各時代の代表的文化遺産や日本風文化の内容を、各社とも詳細に記述されている。しかし、その文化の背景にある国土や国家について体系的に学ぶのには不親切な教科書であるといわざるを得ない。

 今回の調査結果の「第1 評価項目による教科書毎の評価一覧表」より、「1建国の由来」「4 元寇 5朝鮮出兵」「6日本の文化」「8日清・日露戦争」「10大東亜戦争」「11 現在の領土問題」を、5社の教科書の項目別評価欄の点数を合計したものを、評価が満点の場合よりどの程度かけ離れているかをパーセントで表示したのが、次の表である。



 日本の文化に関する記述だけは各社ともすべて詳細であるが、建国の由来や国防の部分に関しては、各社ともに記述や内容的に不十分であり、これでは児童が日本の通史を体系的に理解するのが困難である。この状況は、学習指導要領にある「愛国心」を育む以前の問題である。

 特に、評価度の最も低い「建国の由来」については、世界に誇ることのできる、日本固有の伝統や文化のうち、小学校学習指導要領解説書(社会編)で解説している神話・伝承において、古事記、日本書紀、風土記などの中から、児童に興味や関心をもって、国が形成されていく過程に関する考えをくみ取ることが出来るものとして、「高天原神話」「天孫降臨」「出雲国譲り」「神武天皇の東征の物語」「九州の豪族や関東などを平定した日本武尊の物語」を明確に例示しているにもかかわらず、殆どの教科書がこの記述を蔑ろにしている。このことは、我が国の歴史に対する教育関係者の怠慢としか言いようがない重大な問題である。

建国の由来において、初代天皇であられる神武天皇についての記述は全教科書皆無であり、代わりに外国の史書から引用した卑弥呼が、全教科書の本文に挿絵入りで記述されていることは、日本国憲法 第一章 天皇についての歴史的記述を排除し、「天皇についての理解と敬愛の念を深めるように」との学習指導要領にも反する扱いであり、ある種の意図が働いているのではと危惧するものである。
 
2、小学校における歴史教育の改善

(1)建国の由来について

 初めて歴史を学ぶ児童が抱く「日本という国はいつから始まったのか」という問いは、歴史教育の根源の最大なるものである。その分、学説もさまざまあるのが現状だが、歴史研究と歴史教育は別のものとすべきである。
記紀の中の話と、縄文時代や弥生時代の発掘結果や現存する神社(伊勢神宮、出雲大社、橿原神宮等)などと結びつけて、児童の問いに的確に応えられる教科書であってもらいたい。

 また、検討項目に「建国記念の日」を含めたのは、学習指導要領にも「政治の働きと国民生活との関係を具体的に指導する際には、各々の国民の祝日に関心をもち、その意義を考えさせる」とあることで、建国記念の日に関しても、他の祝日同様、教科指導のみならず、教科外指導の時間にも機会を設けて考えさせることで、我が国の由来に興味や関心をもたせることができるからである。その際に教科書の記述があるかないかで、児童の知識の定着がよりよくなることを期待するものである。

(2)国難・国防について

 「国難において先人たちがいかに向き合ってきたか」、については、特に前近代部分の「元寇・朝鮮出兵」と、「日清・日露戦争」「大東亜戦争」「現代の領土問題」を取り上げてみたところ、評価度は文化面に比べて非常に低い(約30%程度)。

これらのテーマに共通していることは、日本が国難に直面する際は、外圧的な部分が多いということである。しかし、何故外圧を受けるのか、その地勢的な見方、戦略的な分析がなされぬまま、東京裁判史観による戦争イコール悪という図式で、自虐的記述に終始しており、その結果、学習指導要領で求める「国を愛する心情や、将来に向けて平和で民主的国家・社会の進展に一層努力していこうとする態度を育てる」ことは望むべくもなくなっている。

国難・国防に対して、先人たちがいかに苦闘したのか。小学校高学年段階ならば、関心を持ち始め、自分自身でも理解を深める時期でもあるので、それに対して教える立場が的確に応えられる授業をしやすいように、教科書の記述の改善を求めたい。
そのためにも、小学校の歴史学習は、人物の働きや代表的な文化遺産を中心として学習するとしている学習指導要領に従い、国難に身をもって戦った多くの武士や軍人、更には文人・政治家達の働きについて、現存する史跡等(國神社、護國神社、東郷神社、乃木神社等)と関連させて記述すべきである。

国難・国防に対する評価度の約30%という数字をいかにとらえるか。
学習指導要領改訂前の教科書と比べると、「大和朝廷」「元寇」「明治天皇」「東郷平八郎」などの用語を記述はしている。しかし、深みがなく、とりあえず記載しているという態度がうかがえ、児童が興味をもって自主的に調べてみようという目的に達しているものとは言えない。
義務教育段階で、初めて我が国の歴史を体系的に学ぶ機会を、児童にとってよりよきものにできるよう願っている。

(3)学習指導要領と教科書の乖離について

 「ある国を衰亡させるには、その国の先人達が気概を示した歴史を教えなければいい」と歴史家トインビーは語る。先人が気概を示した栄光の歴史については記憶を失わせ、誤った歴史やマイナスの歴史のみ子供に刷り込む歴史教育は日本民族の抹殺行為である。

 トインビーの言の通り、その兆候が最近の意識調査で「自国に誇りを感じる」と答えた日本人は、61.1%で、30か国中30位という数字に表れている。その原因は将に現行の教科書にあり、その要因が、改正教育基本法に基づき作成された小学校学習指導要領にもあると言わざるを得ない。

不思議なことに新学習指導要領の道徳教育の目標に「伝統と文化を尊重」「我が国と郷土を愛し」「公共の精神」が新たに追加されたと明記されているが、社会教育の目標は、平成11年の小学校学習指導要領に既に「伝統と文化を尊重」「我が国と郷土を愛し」と明記されており、これが新学習指導要領にもそのまま引き継がれている。従って、いわゆる改正教育基本法に基づき追加されたという新鮮さは失せている。

逆に考えれば、10年以上前から「伝統と文化の尊重」「我が国と郷土を愛し」を目標に掲げながら、新教科書になってもその評価は、文化については十分に尊重されているが、建国の由来に見る誇るべき伝統の軽視、国難・国防に対する東京裁判史観的、自虐史観的記述が多く、とても誇りをもって我が国を愛する心を育むべく編集された教科書と言い難い物ばかりなのは何故か。
これらの教科書は全て文科省検定済教科書と明記されており、学習指導要領の作成官庁が、自ら指導要領に基づかない教科書の出版を認めており、我々の評価は出版会社と共に、その教科書を認定した文科省の評価と言わざるを得ない。

 特に学習指導要領の解説には、教育目標を蔑ろにするような記述が散見されるのでその一部を列記し、文科省自らの改善を要望する。

ア 42名の例示人物の追加・変更

小学校学習指導要領―社会―(第6学年)―3 内容の取扱い(1)エに示した42名の人物は、平成11年の指導要領と全く同じであるが、伝統を尊重し、愛国心を育む教育を、改正教育基本法の施行に基づき、改めて見直し、追加・変更すべきである。

例えば、何故、我が国の歴史上の最古の例示人物が、他国の歴史書から引用した「卑弥呼」のままであるのか。建国の由来や国難・国防に関連する人物が、少ないのも気になる。これらに関連する人物を追加・変更することが、教育基本法の改正に伴う新学習指導要領であって欲しかった。早急の追加改正を要望する。

イ 近隣諸国条項による制約の排除

 国難・国防に関連する歴史の記述には、学習指導要領の本旨から乖離した自虐的表現が散見されるが、教育基本法の改正を機に、近隣諸国条項による自虐的表現は排除すべきであり、教科書検定基準の適用に際して、考慮すべきである。

 例えば、学習指導要領では「元寇」という旧来から使用されている用語を排除し「元との戦い」としており、歴史用語として不適切と言わざるを得ない。また、「支那事変」を「日華事変」と読み替え(日中戦争と読み替える場合もある)、「大東亜戦争」を「我が国にかかわる第二次世界大戦」(「太平洋戦争」「アジア・太平洋戦争」と読み替える場合もある)と当時の呼び名を廃止して、新たな名称で歴史を教えることは、歴史の改竄に通じるものがあり、不適切である。

更に「日清・日露の戦争」について、解説書で「これらの戦争において、朝鮮半島及び中国の人々に大きな損害を与えたことに触れることが大切である。」とし、また「日華事変、我が国にかかわる第二次世界大戦」について、「これらの戦争において、我が国は、中国をはじめとする諸国に大きな損害を与えたことについても触れることが大切である。」と先人の行為を否定するような記述を指導する解説書は、教育基本法改正の本旨に反するものであり、万一、近隣諸国条項におもねての指導であれば、我が国の将来を担うべき児童に対する精神的虐待行為であり、歴史教育を冒涜するものと言わざるを得ない。


第1 評価項目に対する教科書毎の評価一覧表

【表の見方】
(1) 評価基準
   ○=用語や説明が学習指導要領の狙いに沿って記述している。
   △=狙いに沿っているが、記述が不十分である。
   ×=狙いから外れている。または記述がない。

   ※「学習指導要領の狙い」とは、教育目標である『我が国の歴史や伝統を大切にし、
     国を愛する心情を育てるようにする』を大前提とした記述とする。
(2) 出版社名
   @東書=東京書籍     A教出=教育出版     B光村=光村図書
   C日文T=日本文教出版   D日文U=日本文教出版(旧大阪書籍)

番号 検討項目 教科書評価(三段階評価) 項目毎
東書 教出 光村 日文T 日文U 評価欄
1 建国の由来 〇=2点 △=1点 〇=0点
(1) 我が国の始まりを「記紀」を主、魏志倭人伝を従として記述しているか。 × × × 2
(2) 国づくりの高天原神話を記述しているか。 × × × × × 0
(3) 天孫降臨の神話を記述しているか。 × × × × × 0
(4) 出雲国譲りの神話を記述しているか。 × × × × × 0
(5) 神武天皇の御東征を記述しているか。 × × × × × 0
(6) 「建国記念の日」を記述しているか。 × × × × × 0
(7) 「大和朝廷」という用語を使用しているか。 8
(8) 建国の由来に関する史跡を紹介しているか。 × × × 2
2 帰化人(渡来人)
(9) 帰化人を大和朝廷が厚遇したことを記述しているか。 8
3 聖徳太子の外交
(10) 中国(隋)と対等の付き合いを求めたことを記述しているか。 × 6
4 元寇
(11) 「元寇」という用語を使用しているか。 × × 5
(12) 挙国一致で国難に当たったことを記述しているか。 × 5
(13) 武士の勇戦奮闘を記述しているか。 × 5
5 豊臣秀吉の朝鮮出兵
(14) 「侵略」という用語を使用していない。 × × × 3
6 日本の文化・伝統
(15) 仮名文字の発明が日本風文化の形成に寄与したことを記述しているか。 9
(16) 「源氏物語」「枕草子」の文学的評価について記述しているか。 10
(17) 室町文化が日本人の精神に影響を及ぼしたことを記述しているか。 10
7 明治維新
(18) 「明治天皇」についての記述があるか。 × × × × × 0
(19) 「五箇条の御誓文」を掲げ、解説しているか。 8
(20) 「大日本帝国憲法」の「天皇の権限」を過大に記述していない。 × × × 2
(21) アジアで初めて立憲政治を行った国であることを記述しているか。 × × 6
8 日清・日露戦争
(22) 日清戦争の結果、「大韓帝国」が誕生したことを記述しているか。 × × × × 1
(23) 三国干渉と日本国民の「臥薪嘗胆」の心情を記述しているか。 × × × × 1
(24) 日露戦争の背景にあったロシアの脅威について記述しているか。 × × 5
(25) 日本海海戦の勝利と東郷平八郎について記述しているか。 × × × 3
(26) 韓国併合は正当な手続きを踏んで行われたことを記述しているか。 × × × × × 0
9 満州事変・日華事変
(27) 「支那事変」という名称が使用されているか。 × × × × × 0
(28) 満州事変と日華事変を一連の侵略行為としていない。 × × 4
(29) 南京事件を誇大に記述していない。 × × × 3
10 大東亜戦争
(30) 「大東亜戦争」という名称が使用されているか。 × × × × 1
(31) 開戦理由を自存自衛という観点で記述しているか。 × × 5
(32) ソ連が中立条約を破って参戦したことを記述しているか。 × × 5
(33) 昭和天皇が終戦のご聖断をなされたことを記述しているか。 × × × × × 0
(34) 昭和天皇が日本の終戦をラジオを通じて国民に伝えたことを記述しているか。 × 6
(35) 大東亜戦争がアジアの植民地独立の契機となったことを記述しているか。 × × × × × 0
11 領土問題
(36) 北方領土は、我が国の領土であることが記述しているか。 8
(37) 竹島は、我が国の領土であることが記述しているか。 × × × × × 0
(38) 尖閣諸島は、我が国の領土であることが記述しているか。 × × × × × 0
〇合計 8 2 17 13 7
△合計 5 13 2 5 12
×合計 25 23 19 20 19
教科書毎総合評価(〇△×評価点込) 21 17 36 31 26



  
小学校学習指導要領に例示された
歴史上の人物について


   
第6学年用社会科教科書の検討

平成23年4月

一般社団法人 日本郷友連盟

郷友総研 教育研究委員会


第1 例示人物の記述に対する新旧評価表

 (1) 取り上げた歴史上の人物

1.卑弥呼 2.聖徳太子 3.小野妹子 4.中大兄皇子 5.中臣鎌足
6.聖武天皇 7.行基 8.鑑真 9.藤原道長 10.紫式部 
11.清少納言 12.平清盛 13.源頼朝 14.源義経 15.北条時宗
16.足利義満 17.足利義政 18.雪舟 19.フランシスコ・ザビエル 20.織田信長
21.豊臣秀吉 22.徳川家康 23.徳川家光 24.近松門左衛門 25.歌川広重
26.本居宣長 27.杉田玄白 28.伊能忠敬 29.ペリー 30.勝海舟
31.西郷隆盛 32.大久保利通 33.木戸孝允 34.明治天皇 35.福沢諭吉
36.大隈重信 37.板垣退助 38.伊藤博文 39.陸奥宗光 40.東郷平八郎
41.小村寿太郎 42.野口英世

 (2) 出版社名

東京書籍、 教育出版、 光村図書、 日本文教出版T、 日本文教出版U

     例示人物の記述に対する新旧評価表へリンク


第2 学習指導要領および教科書に取り上げたい人物

1.アマテラスオオミカミ(天照大神) 2.ニニギノミコト(瓊瓊杵尊) 
3.オオクニヌシノミコト(大国主命) 4.神武天皇 
5.ヤマトタケルノミコト(日本武尊) 6.天武天皇 7.持統天皇 
8.最澄(伝教大師) 9.空海(弘法大師) 10.菅原道真 11.北条泰時
12.親鸞 13.日蓮 14.後醍醐天皇 15.楠正成 16.足利尊氏
17.千利休 18.徳川綱吉 19.徳川吉宗 20.大石良雄 21.松尾芭蕉
22.二宮尊徳 23.井伊直弼 24.吉田松陰 25.坂本龍馬 26.高杉晋作
27.徳川慶喜 28.乃木希典 29.新渡戸稲造 30.昭和天皇 
31.マッカーサー 32.吉田茂 33.湯川秀樹 34.古橋広之進

     学習指導要領および教科書に取り上げたい人物へリンク


むすび  国家、民族への自信と誇りを育てる「国民の物語」

 「歴史は追究の過程だけが学問であり、結論の記述は文学あるいは信仰の告白である」という言葉がある。
後段は組織拡張のプロパガンダ、政治家の保身術、それぞれの立場の利益追求の主張等と置き換えてもいいだろう。
したがって歴史の言葉は自らの歴史観を確立して聞くことが大切である。
ドイツの哲学者ニーチェは歴史の記述について、示唆に富む見解を示している。それを参考にし、教科書検討の際の三つの観点にまとめた。

(1) 歴史は真摯に努力する者に対しては、偉大な過去の先例を示して彼らを鼓舞したり、警告したりする<記念碑的歴史>となる。
(2) 自らの現実を支える伝統を崇敬し保存しようとする者に対しては、尚古の念をもって祖先の遺産を守りこれを将来に伝えようとする<骨董的歴史>となる。
(3) 不当な現実に苦悩してこれからの解放を求める者に対しては、過去のすべてを解体しようとする<批判的歴史>となる。

 義務教育学校の歴史教科書の在り方に関する我々の基本的認識は「はじめに」で述べた。
端的に言えば「ヒストリー(歴史)はストーリー(物語)」であり、上記の観点に当てはめれば(1)及び(2)ということになる。だが遺憾ながら我が国の歴史教科書の現状は、現実に対する明確な苦悩もないままに、空気に流され大半が(3)に傾いている。
 
1 小学校歴史教科書は大同小異、全て自虐的色彩を帯びている

 本報告書の「第2 評価変更の理由」についての包括的所見を次に述べる。

(1) 全体的に評価段階が下がった人物より、上がった人物の方が多く、小学校の歴史教科書は改善の方向に向かっていることがうかがえる。
だが改善の実態は極端な自虐的、反日的内容に抑制が見られるという程度で、歪みが真っ直ぐに修正された訳ではない。
小学校においては中学校における扶桑社(育鵬社)本・自由社本に匹敵する、反自虐的教科書がないことは大きな問題点である。

(2) 北条時宗、豊臣秀吉、及び東郷平八郎始め幕末・維新にかかわった人物並びに明治天皇に対する評価が低い。
ここにも近隣諸国条項の影響が現れている。

(3) 印刷技術の進歩と過度のビジュアル化で、教科書が美しい絵本のようになった。
児童の歴史に対する興味・関心を高める上での有効性は認めるが、同時に弊害にも目を向ける必要がある。
絵本化された教科書は必然的に文章部分が削減され、本文は年表のような記述になる。
思考力や表現力が言葉の操作で練られるとすれば、語彙が貧弱では歴史に対する深い洞察は期待できない。

(4) 加えて解説を減らし「調べてみよう」「考えてみよう」という児童中心の活動を増やしている。
一例を挙げる。 某社の教科書は日韓併合に関し、本文では韓国側の主張をほぼ丸呑みして日本の圧政を並べ、石川啄木の「地図の上 朝鮮国にくろぐろと すみをぬりつつ 秋風をきく」という和歌を掲げている。
だが和歌についての説明はない。
扱いは教師の匙加減ということになるから、誘導次第で汚辱の歴史観が児童に刷り込まれる危険性がある。
 辛辣だが的を射ていると定評のある随筆家の山本夏彦氏は「先生が子供達に意見を言わせ、それをディスカッションと称して聞くふりをするのは悪い冗談だ。意見というものは、ひと通りの経験と常識と才能の上に生じるもので、それらがほとんどない子供には生じない」と述べている。
 児童に、課題に対する相当の知識がなければ討論は成立しない。
また児童主体の学習においては、教師には当意即妙の対応ができる広範な知識と、一斉授業以上の指導技術が必要であり、児童生徒には自律と自立が求められるのである。

(5) 6年生社会科の授業時数は歴史的内容と公民的内容を合わせて年間105時間、歴史に比重を掛けたとしても60時間程度だろう。
法的に使用義務がある教科書の内容を終わりまで消化するには、教師主体の授業を「主」とし、児童中心の学習を「從」とするのが妥当である。

(6) 平成元年告示の小学校学習指導要領に始めて歴史上人物42名が例示された。
だが平成10年の改訂版も、20年の改訂版も例示人物の追加はなかった。
ということは42番目の野口英世以後、傑出した人物が出なかったということか? 
改革、改革の合唱のなかで20年間も無修正だったことは、驚くべき怠慢ではないか。
文科省・中教審に質してみたい問題である。

2 東京裁判史観からの離脱(パールハーバーは晴天の霹靂ではなかった)

 韓国・中国の居丈高な歴史教科書への干渉、その元凶を「近隣諸国条項」としたが、遠因に遡れば「東京裁判」を挙げることができる。
同法廷は「人道」の名においていわゆるA級戦犯全員を断罪、同時に満州事変以降はもとより、明治の日本にも「侵略国」の烙印を押した。
 東京裁判の受けとめ方については現在、@敗戦国という立場上、東京裁判の<判決>は遵守せざるを得なかった。だが講和条約発効後、合法手続きにより判決の処理を終わらせた。
A東京裁判は審理内容も含めその全体を受容すべきである― という二つの意見が衝突し<内戦の様相>を呈している。
当然のことだが教師や親を含め戦争を知る世代は年々減り続け、逆に自虐的教科書で歴史を習った無戦派が増え続けている。
このままでは歪められた歴史が日本の正史になる恐れが濃厚である。

 近隣諸国条項を含め東京裁判史観からの脱却が急務になった。
以下に東京裁判史観の呪縛を解くために、その根拠となる事実及び関係者の証言を列挙する。

(1) 昭和26年、連合国軍最高司令官を解任され帰国したマッカーサーは、米国議会において「日本が戦争に駆り立てられた動機の大部分は安全保障の必要に迫られてのことだ」と証言している。
太平洋戦争と占領政策遂行の最高指揮官の証言だから千鈞の重みがある。

(2) 東京裁判進行中の昭和23年、米国の歴史学者(GHQ勤務経験者)のミアーズ女史は『アメリカの鏡・日本』を出版、<日本悪玉論>に根元的な疑問を突き付けた。
題名は「日本を裁く前に鏡に写る日本を見よ。それはまさに自分(米国)の姿ではないか」の意味である。
  ミアーズ女史は事後法で裁く勝者の法廷を「この法解釈は実に斬新だ」と逆説的に批判し、例えば明治の日本について「とにかく当時の国際慣行を律儀に守った」と、日清・日露戦争や韓国併合に一定の理解を示している。
また太平洋戦争の開戦についても「パールハーバーは晴天の霹靂(騙し討ち)ではなく、アメリカが仕掛けた経済戦争への反撃だ」との見解を述べている。

(3) チャンドラ・ボース自由インド仮政府代表は終戦直後、飛行機事故で不慮の死を遂げたが、ボース氏は死の直前まで独立戦争の継続を訴え続けた。
日本降伏戦後、インドの民衆は決起し独立を達成した。
そしてボース氏は<独立の英雄>として、今もインド国民の厚い尊敬を受けている。

(4) マレーシアのマハティール元首相は、日本の占領当時を回顧し「日本の占領下において市場で物売りをしていたが、日本の軍人は必ずカネを払ってくれた」と、敬意をこめて著書に記している。

(5) 同じくマレーシアのノンチック元上院議員も「日本軍は(植民地支配をしていた西欧の勢力を追い払い)白人には勝てないと諦めていたアジアの民族に、驚異の感動と自信を与えてくれた。どうして日本人は自分達の父や兄が残してくれた正しい遺産を見ずに、悪いことばかりしていたような先入観を持つようになってしまったのか」と述べている。
 日本軍の真珠湾攻撃成功に世界は震撼した。
だがシンガポール攻略の方が、歴史的意義は大きいという見方がある。
現地人の眼の前で、七つの海を制覇し大英帝国のユニオンジャックが降ろされ、日章旗が高々と掲げられたのである。
アジアの人々は「歴史の夜明け」を感じたに違いない。

(6) 昭和18年、当時のバー・モウ首相はビルマの独立を宣言し、米英に宣戦を布告した。
同氏は戦後、自伝『ビルマの夜明け』の中で「真実のビルマの独立宣言は1948年ではなく、1943年であると述べている。
1943年は昭和18年、戦時下の東京では『大東亜会議』が開催された。
バー・モウ氏の言葉を続ける。
「日本ほどアジアを白人の支配から離脱させることに貢献した国はない。しかしその解放を助けた諸国民から、日本ほど誤解を受けた国はない」。

(7) インドネシア独立宣言の日付は終戦2日後の「05年8月17日」である。
05年が「皇紀2605年」を指していることは今日、広く知られている。
現地で独立義勇軍を指導した日本軍は終戦時、連合国側に引き渡すべき多数の武器を、巧妙にインドネシア側に渡した。
更に約1000人の兵士が帰国せずに義勇軍と共にオランダ軍と戦い、インドネシア独立に貢献したことも周知の事実となっている。
日本人戦死者は国軍墓地に祀られ、功績を讃える勲章が贈られたという。
  インドネシアのナチール元首相は「大東亜戦争は、私たちアジア人の戦争を日本が代表して敢行したものである」と、我が国に感謝の意を表している。

(8) 東京裁判の判事は11人。唯一人インドのパール判事は日本無罪論を主張した。
主たる根拠は法の不遡及である。
事後に制定した裁判条例で過去の行為を断罪するのは法治社会の原則を踏みにじる〈復讐劇〉であると指摘した。
闇に葬られたパール判決文の一部を掲げる。
「時が熱狂と偏見をやわらげた暁には、また理性が虚偽からその仮面を剥ぎ取った暁には、そのときこそ、正義の女神はそのはかりを平衡に保ちながら、過去の賞罰の多くにそのところを変えることを要求するだろう」。
「戦勝国は敗戦国に対し、憐憫から復讐までどんなものでも施し得る立場にある。しかし、戦勝国が敗戦国に与えることのできないただ一つのものは、正義である」。
戦後60年、中韓両国の「熱狂と偏見」は一段と増幅された。
日本非難の怒号の中にひときわ高い日本人の罵声が混じっている。
正義なき復讐劇の後遺症だ。
それが今、我が国に漂う閉塞感の根底にあることに気付かなければ、我が国は「坂の下の泥沼」に向かって亡国の道を転げ落ちるだろう。

(9) 昭和初期の高等小学校国語教科書第1学年用(現中1)「国史に還れ」の一部を抜粋する。
 「我が大和民族の誇りは日本の歴史なり。此の歴史の中には必ずしも悉く正しき事善きことのみあるにあらず、必ずしも悉く敬すべく仰ぐべき事のみあるにあらず。人の所為には種々の過失あり、罪悪あり、されど総括していえば、日本の歴史は大和民族の恥辱史にあらずして、光栄史なり」。
 軍国主義、超国家主義の暗黒時代というイメージが強い戦前の昭和だが、この国語教科書を見ると意外に公平な記述をしていることが分かる。
どこの国の歴史にも〈光と陰〉がある。そのことを前提として陰の歴史も包み込んで、光の歴史を明らかにして日本人としての生き方を先人から学ぶこと、それが学習指導要領が示す「歴史に対する愛情」を育てることに繋がるのである。

3 戦闘には敗れたが、結果的には戦争目的は達成した

 『宣戦の詔書』(昭和16.12.8)は「帝国ハ今ヤ自存自衛ノ為蹶然起ツテ一切ノ障礙ヲ破砕スルノ外ナキナリ・・・東亜永遠ノ平和ヲ確立シ以テ帝国ノ光栄ヲ保全センコトヲ期ス」と述べ、「我が国の自存自衛」と「アジアの恒久的平和」が大東亜戦争の目的であることを高らかに宣言している。
 戦後、日本は奇跡の経済成長を成し遂げた。
またアジアにおいては白人による植民地支配が終焉した。
我が国は敗戦という大きな犠牲を払ったが、結果的には戦争目的を達成したのである。
悪びれることなく堂々と「勝者の歴史」を正し、自虐史観という「負の遺産」を清算して、子供達に誇り高い教科書を与えなければならない。



吹き荒れる中国の反日デモ―中国から見れば、戦後半世紀に及ぶ愛国心(反日)教育の見事な結実であり、我が国から見れば、卑弥呼の朝貢外交より卑屈な謝罪外交の帰結である。

 テレビが映し出す暴徒と化した群衆―それを見ながら孔子や孟子の嘆きを考えた。
 明治・大正・昭和・平成という元号は時代に即した国家理想を、また幕末の藩校、例えば、水戸の弘道館(人能ク道ヲ弘ム/論語)、会津若松の日新館(日々新タナリ/論語)、萩の明倫館(人倫ヲ明カニス/孟子)、鶴岡の致道館( 其ノ道ヲ致ス/論語)、熊本の時習館(学ンデ時ニ之ヲ習ウ/論語)等は、建学の精神をそれぞれ中国の古典に求めている。

 日の丸を燃やして気勢を上げ、我が国の在外公館や企業のビルに投石する無礼と蛮行、そこには孔子が説く道徳の根本原理とした「忠恕」の精神(真心と思い遣り)は微塵もない。
 日本が道義と礼節の手本とした中国四千年の文化が、僅か半世紀の理不尽な反日教育で、その精神が跡形もなく消滅したのである。「文化断絶」の恐ろしさは“対岸の火事”ではない。
 道義と礼節を失えば国際社会における信用が下落する。反日デモは我が国の歴史を軽んじる教育に対する警鐘と受け止めるべきだろう。“他山の石”として謙虚な反省が必要だ。

※(社)日本郷友連盟・郷友総研教育委員会作成の研究報告書『日本の再生は愛国心教育にあり』(第2年次/平成17年5月)からの引用文に、若干の修正を加えた。
 中韓からの威嚇に対する7年前の所見がそのまま通用する。その間、日本は事ある毎に謝罪を繰り返した。だが事態は改善されていない。むしろ中韓両国との関係は一層険悪になった。

1 近隣諸国条項は痛恨の極み

 前回の『報告書』(平成23年4月)の「まえがき」から冒頭部分を引用する(要旨)。
「焔々(えんえん)を滅せずんば、炎々(えんえん)を若何(いかん)せん」という中国の古語がある。蝋燭の焔のような小さな火でも、放って置くと”紅蓮の炎”となって燃え盛り、手に負えなくなる」という意味である。
この古語は、我が国が直面している歴史教科書問題の根元を簡潔明瞭に指摘している。

 昭和57年夏、高校歴史教科書の検定で、大陸への日本軍の「侵略」が「進出」に書き替えられたと一紙が報道すると、全マスコミが同調、それに呼応し中韓両国が猛然と抗議をするという騒動が起こった。文部省は直ちに国会において「その事実はない」と明確に否定したが、それにも拘らず宮澤官房長官は、文部省の頭越しに検定基準を改め、教科書は「近隣諸国に配慮する」という趣旨の談話を発表した。一時凌ぎの“事なかれ主義”が「一犬虚に吠え、万犬実を伝う」(嘘から出た真)となって、世界中に発信されたのである。

 初期消火を怠った宮澤官房長官談話(近隣諸国条項)は、河野官房長官談話(従軍慰安婦肯定・謝罪)から村山首相談話(侵略肯定・全面謝罪)へと燃え移り、更に政権交代のあった平成22年の夏には、菅首相談話(日韓併合謝罪)へと飛び火し、ますます燃え盛っている。

 この間、我々は教科書改善及び歴史教育正常化の第一歩は、近隣諸国条項の破棄であるという提言を繰り返してきた。だが残念ながら実効は見えない。まさに痛恨の極みである。屈辱的な政治判断で歴史を歪める愚行を続ける限り、「侵略国家」の汚名を雪ぐことはできない。

2 臆病な譲歩がもたらす最悪の結果

 マキャベリの『君主論』に触れる。マキャベリズムというと「権謀術数・奸計・奇策」の代名詞として使われることが多い。だが国家の究極の理念は「夜警国家」だといわれている。敷衍すれば君主(宰相)の使命・責務は国民の“安眠確保”ということになり、更に換言すれば君主とは、国民の“安眠を脅かす敵”に勝つことを求められる人ということになる。

 次にマキャベリ語録から君主(宰相)を対象とした名言を掲げる。
 君主は自らの権威を傷つけるおそれのある妥協は、絶対にすべきではない。(中略)
正面衝突を回避したい一心で譲歩策をとったとしても、結局は回避などできないからだ。
 以下、譲歩がもたらす結果の記述が続くが、スペースの関係で意訳して掲げる。
(1) 譲歩を重ねても相手は満足しない。譲歩によって貴方への敬意を失った相手は、貴方への敵意を一層露骨に現し、より多くのものを奪ってやろうと思うようになる。
(2) 思慮(洞察)を欠いた譲歩によって示された貴方の弱みは、味方になり得た人々をも失望させ、その人々を冷淡にさせてしまう。

 日本という国家の威信低下と、日本国総理の権威失墜、それに対する思慮を欠いた宮澤談話に始まる謝罪談話の影響は、中韓両国の執拗で威丈高な言動と、慰安婦や南京事件に対する同盟国アメリカの冷淡な対応に、如実に現れている。“正鵠を射た”マキャベリの警告は、組織の規模の大小に拘らず指揮官(組織の長)と参謀(補佐役)の指南書として通用する。

3 教育基本法・学習指導要領・教科用図書検定基準の整合性

 平成18年12月、安倍首相の強い意向により、保守陣営の宿願であった教育基本法改正が実現した。新教基法の第2条(教育の目標)には「公共の精神」「伝統と文化を尊重」「我が国の郷土と国を愛する」などの文言が盛り込まれている。

 平成20年3月、教基法改訂の趣旨を踏まえた小学校学習指導要領が告示された。旧小学校学習指導要領―社会―第1目標―には「我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め」と書かれていたが、この文言は新学習指導要領にも引き継がれている。更に「社会」第6学年の目標には歴史や伝統を大切にすること、国を愛する心を育てることなどの文言がある。

 新学習指導要領との整合性を図るため、並行して教科用図書検定基準も改訂され、学習指導要領の目標を達成する観点から、教科用図書の審査を行うことを明確にした。この一連の改訂は近隣諸国条項による外圧から後退を余儀なくされてきた検定が、ようやく本来の姿に反転したとの期待を保守陣営に抱かせた。だが不安は消えない。問題は“政治決断”だ。
 
4 歴史に対する理解と愛情を深める教科書

 小学校のいわゆる「歴史教科書」に対する我々の基本的な考え方を述べる。

(1) 判断力が未熟な子供が使う義務教育段階の歴史教科書(以下、教科書)と学術論文・研究  図書は別物である。教科書では当然、学問・表現の自由は制限される。したがって教科書では特定の歴史観(あらかじめ用意された歴史観)を絶対視してはならない。

(2) 「国家」とは高度の抽象概念であり、子供達は国旗・国歌・歴史・国語・音楽・道徳等の学習、伝統的な風俗・習慣、行事・儀式等の具体的な体験を通し徐々に概念が明確になる。この概念形成の過程において歴史教育(中心は教科書)の影響が大きいことは自明である。したがって教科書は「健全な国家概念」の形成に寄与するものでなければならない。

(3) 教科書を歴史観対決の標的にしてはならない。まして政治・外交の駆け引きの具に供することなどは論外である。教科書論争の焦点は教育的見地に立った「教科書としての適否」に絞り、他の要素を排除することが肝要である。その際の「教科書評価」の拠り所は第一に学習指導要領、次に教科用図書検定基準である。

(4) 戦争における政治・外交的観点からの成功・失敗、軍事的観点からの戦略・戦術の巧拙と、戦争そのものを全面否定する人道的・倫理的観点は峻別する必要がある。戦争という超非常事態に遭遇した人間は、しばしば「極限の姿」を露呈する。一つは普段は極力自制していた「おぞましい蛮行」であり、一つは昔から「崇高な価値」とされてきた「内心に潜む美質」である。前者を肥大化し後者を矮小化してはならない。

(5) 「ヒストリー(歴史)はストーリー(物語)である」という語呂合わせ的な表現は、教科書の性格を明確に示している。したがって教科書は、子供達に日本という国家及び日本人という民族の誇りを涵養し、気概を鼓舞する「国民の物語」でなければならない。
  なお、小学校段階の子供に歴史に対する理解と愛情を育てる方法論において、国民の物語に相応しい人物の選択とその取り上げ方、及び教師の話術は極めて重要な要素である。

5 歴史記述の多様性―日本は物語、中国は宣伝、韓国は幻想

 「歴史追究の過程は学問だが、結論の記述は文学あるいは宗教の告白である」という言葉がある。後段は組織拡大の宣伝文句、時流に阿る政治家の自己保身、経済的利益優先の企業論理と読み替えてもいいだろう。我々はこの歴史の記述の多様性を踏まえた上で、小学校教科書の性格として上記のように「ヒストリーはストーリーである」を選んだ。

 ところが中韓両国は、我々とは全く異質の歴史観の共有を強要している。その根拠は近隣諸国条項を内包する「東京裁判史観」である。改めて中韓両国の主張を概観する。

(1) 共産党支配の中国は冒頭で述べたように「忠恕」の精神を喪失した。我が国に忠恕の精神がどの程度残っているか疑問だったが、今回の大震災は、大半の日本人がその心を忘れていないことを示した。孔子の教えの正統性は日本人が引き継いでいるのではなかろうか?

(2) 日本に対し儒学の兄弟子を自負していた韓国人も、忠恕の精神を捨てたとしか思えない。
最近「何でもかんでも韓国発祥だ」と唱える歴史観が登場した。孔子、漢字、漢方医学、活字印刷、端午の節句から釈迦まで、全て韓国が発祥地だと言い張って譲らない。これに対し中国の若者がインターネットで、韓国を強く批判したという報道を見た。

(3) 日本も中国同様、韓国の「何でも歴史観」の被害を受けている。柔道、剣道、茶道、華道も発祥は韓国であり、日本の皇室の先祖も韓国出身だと言い出した。雑誌に「高天原故地」と刻んだ巨大な石碑の写真が載っていたのをみて、我が目を疑った。

(4) 中国は韓国の歴史観を「歴史の捏造」「他国の歴史を奪う」と非難する。だが中国も捏造
や奪取を恥じることのない国だ。食料品ではコシヒカリ、ひとめぼれ、松阪牛、讃岐うどん等の世界的に有名な商標が、勝手に登録された。被害は外国企業にも及んでいるという。

(5)日中合同歴史研究でも「南京事件」について、日本側は二万から二十万まで各資料の数字を列挙したが、中国は「三十万人虐殺」の一点張りだという。「白髪三千丈」の誇大表現が罷り通る国では常識外れの数字が堂々と「正史」になる。だから看過してはいけない。

(6) これらの事実を某雑誌が日中韓三国の歴史観の違いを「日本はストーリー」「中国はプロパガンダ」「韓国はファンタジー」と、分析しているのを見た。

6 挙国一致で国難打破と武士の勇戦奮闘(国民の物語の記述例)

●昭和初期の尋常小学校『国史』教科書(第6学年用)「北条時宗」

(前略)敵兵は壱岐を侵して博多にせまりしが、菊池武房、河野通有等の勇士、或いは石塁に拠りて之を防ぎ、或いは敵艦を襲いて之をなやましたり。…(元の大軍が)まさに攻めよせんとせし折しも、大風にわかに起こりて、敵艦多く沈没し、溺れ死す者数を知らず…世に之を弘安の役という。この二度の役は、まことに我が国始めての大難にして亀山上皇は大いに之を憂えたまい。かしこくも御身を以て国難に代らんことを伊勢の神宮に祈りたまい、時宗は大いなる決心を以て事にあたり、国民も皆奮いおこり、上下心を一にして、遂にこの強敵をしりぞくることを得たり。
(現行の漢字の字体と仮名遣いに直した)

 視覚教材は情景を一目瞭然にする。だが時代背景や人物の心情の推察は文章の方が優位だ。「元寇」の学習目標の第一を武士の勇戦奮闘と挙国一致とすれば、目標に合致し、かつ想像的活動も気概の涵養も期待できる物語の参考例である。偏見を持たずに検討していただきたい。


  
中学校歴史教科書採択に備えての提言

   
ー歴史教育を歪める「近隣諸国条項」の呪縛を解く ー

平成22年5月
社団法人 日本郷友連盟


1 中学校学習指導要領一社会一歴史的分野一目標−に「我が国の歴史に対する理解と愛情を育てる」という一節がある。
 この文言を教科書の編纂、検定、採択、並びに授業の第一義的な指針とすることを、文部科学省主導により各方面に徹底すること。

2 平成23年は中学校歴史教科書採択の年に当たる。
喫緊の課題は践覆する偏向教科書に対抗する正常な教科書の飛躍的な採択増である。
誤報に端を発した正統性なき近隣諸国条項が超法規的に存覆し、教科書の内容を左右することの不条理を、広く−般の人々に知らせることが肝要である。

3 教科書問題を外交手段や政争の具に供してはならない。
公正な検定及び静謐な採択環境を確保するため文部科学省以下各行政機関は、教育基本法第16条「教育は不当な支配に服することなく」を真摯に実行すること。
 更に特定の検定合格教科書に対する誹謗、中傷、採択妨害、並びに外国からの干渉に対しては、毅然たる態度で対応すること。

4 問題解決学習、体験学習等を名目とした教師の恣意的誘導を排除すること。
そのために教師は「教育をつかさどる」という法が定める職務の意味(教師裁量の限界)を自覚すること。
更に校長は学校組織の自律性を高めることについて不断のリーダーシップを発揮すること。

5 教科書検定基準に定める近隣諸国条項は、過去に戦火を交えた中国・韓国に対する政治的妥協の結果である。
両国の政治上の主張で我が国の歴史が曲げられ自虐的な教科書を生み出している。
このような教科書で教育される生徒は、我が国の威信、日本民族の矜持を持つことはできない。
直ちに廃止し近隣諸国条項の束縛から解放して、真に我が国の歴史教育に相応しい教科書が輩出する環境を整備すること。
                          平成22年5月
                              社団法人 日本郷友連盟
                              会 長   寺 島 泰 三

    ◎近隣諸国条項に対する見解と平成21年度調査研究の要点

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<「国防の基本方針」の見直しに関する提言> (要約)

平成22年3月
社団法人 日本郷友連盟


新たな時代における日本防衛の再構築のために

新「国防の基本方針」


            新「国防の基本方針」(試案)
  
 国防の目的は、直接および間接の侵略ならびに不法行動などを未然に防止し、危機の発生に際してはこれを回避し、万一侵略が行われるときにはこれを排除し、もって天皇を中心とし、自由、民主主義、人権ならびに法の支配を基調とするわが国の生存と安全を確保し、独立と主権を守ることにある。

  この目的を達成するための基本方針を次のとおり定める。

 一 国際連合の活動を支持し、多様な価値観を有する国家間の協調をはかり、世界
  の平和と安定の維持ならびに地球的諸問題の解決に積極的に参画する。
  また、周辺諸国との友好協力関係を拡大し、わが国の安全保障環境を整備する。

 一 国民の国を守る気概を基礎とし、民生を安定し、防衛産業基盤等を維持確保し、
  国土交通などの整備に当たっては有事の要求に配意し、国家の安全を保障する
  に必要な基盤を確立する。 

 一 国土防衛を基本とし、主要な脅威に有効に対処できる防衛力を着実に整備し、
  国家の諸力を総合発揮し、主体的に国家防衛を全うする。

 一 米国との安全保障体制を堅持し、もってわが国の安全保障を補完強化する。


   「国防の基本方針」の見直しに関する提言の趣意はこちら


郷友総合研究所編 展転社発行

  日本の核論議はこれだ

本書は、一昨年から昨年に掛けての北朝鮮のミサイル発射及び核実験などを背景として、郷友総合研究所においてわが国の対核防衛のあり方を研究した成果をまとめたものです。

郷友の皆様には、ぜひこの本を読んでいただき、中国、ロシアに北朝鮮が加わった核保有国に取り囲まれたわが国の状況を再認識され、国民の国防意識啓発の一助としていただければ幸いです。


   
     防衛省改革に対する緊急提言
          
              社団法人 日本郷友連盟 

 日本郷友連盟は、一昨年から防衛省(庁)の問題点とその改革の方向について種々の検討を重ねてきた。
その結果を踏まえ、今日の危機的な状況に対する「待ったなし」の省改革に一石を投じるため、前記事項を
緊急に提言するものである。

 現在、防衛省の度重なる不祥事を受けて、総理官邸では「防衛省改革に関する有識者会議」が、防衛省
内では「防衛省改革推進チーム」が、また与党・自民党では「防衛省改革小委員会」が活発に論議を重ね、
近々、改革の方向について取りまとめが行われると報じられている。
本検討の行く末は、今後のわが国の平和と独立や安全の確保のみならず、世界の平和と安定にも重大な
影響を与えることは間違いない。
したがって広く世論に耳を傾けつつ、脱却を要する戦後体制に対する歴史的視点や列国の国防体制などを
踏まえた国際的視座をもって将来に禍根を残さないよう抜本的解決に向けた検討がなされるよう切望するもの
である。


日本郷友連盟の「防衛省改革に対する緊急提言」はこちらをご覧ください。


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伊吹幹事長及び三朝国際局長に対する公開要望書

                       日本世論の会福井県支部長 野村利幸 
 
                                 

件名 中国豪雪の義援金を半強制的に徴収する件

野村利幸氏の 「公開要望書」 はこちらをクリック



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日本軍は命がけで沖縄県民を守った!

                      フリージャーナリスト  惠(めぐみ) 隆之介 
 
                                 【史】 平成20年1月号より

「集団自決」教科書検定問題の背景

惠 隆之介氏 「日本軍は命がけで沖縄県民を守った!」はこちらをクリック


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沖縄作戦と集団自決

                         東京都郷友会常務理事  永江 太郎 
 
                     (東京都郷友会刊平成20年「わたし達の防衛講座より)

・・・座間味島で、梅澤隊長の玉砕命令を受領したとされる宮里盛秀助役など五人の
中で、唯一の生存者であった宮城初枝さんが、梅澤少佐をたずねて玉砕命令の受領は
偽証であったと謝罪したのである。


永江太郎氏 「沖縄作戦と集団自決」本文はこちらをクリック


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沖縄の県民大会の本当の参加人数は?

  警備会社 潟eイケイの会長 高花 豊氏は昨年9月29日に沖縄・那覇で行われた、
いわゆる「沖縄の集団自決」問題の教科書検定に抗議する県民大会に参加した人員
数が11万人″という主催者発表に疑問を抱き詳細にカウントした。


 高花氏は県民大会の拡大空中写真をタテ8コマ、横13コマに区分しそれぞれの人数を
カウントして集計した。(この作業は4人で1日を要した。)
視認可能の合計は1万8179人、別に建物、木陰、写真外などを推定で加えた総数は
1.9万〜2万人であることを証明した。

      

 高花 豊氏のオピニョン「集団自決の軍命令はなかった」はこちらをクリック




民主党山岡国会対策委員長に対する緊急公開質問状

福井県郷友会会長・野村利幸氏が、次のような緊急公開質問状を民主党山岡国会
対策委員長送付し、その回答を求めていますので、その内容を紹介します。
                                      (副理事長 勝木俊知)


緊急質問状についてはこちらをクリックしてください



佐藤正久議員が郷友連盟本部を訪問

9月5日、参議院議員の佐藤正久氏が郷友連盟本部を訪問し当選御礼の挨拶をされ、
国会における重要課題である「テロ対策特措法」について、イラクでの勤務経験をもとに
考え方を述べられました。



佐藤正久氏が参議院通常選挙に当選

郷友政治連盟 事務局

 平成19729日に行われた第21回参議院議員通常選挙において佐藤正久氏は251,579票を獲得し、比例代表48人中の第18位、自民党14人中第6位で当選した。
自民党にとって大逆風が吹き、大惨敗の結果の中、佐藤正久氏の当選は、見事であった。開票直後
(292002)、テレビで佐藤正久氏の当確が報じられ、「佐藤まさひさ選対本部」で万歳が行われたが、あまりに当確の出るのが早過ぎて、このセレモニーに間に合わない関係者もあった。
 寺島会長は
1930分頃から選対本部顧問として選対本部に詰めていたので、この当選儀式に参加し、佐藤正久氏と喜びを分かち合うことができた。
開票が進み、佐藤正久氏の当選が確定したのは
300300時過ぎであり、関係者一同、安堵すると同時に再度喜びを噛みしめた。


           


民主党小沢代表に対する緊急公開要望書


福井県郷友会会長・野村利幸氏が、次のような緊急公開要望書を民主党小沢代表に
送付し、その回答を求めていますので、その内容を紹介します。
                                      (副理事長 勝木俊知)

民主党小沢代表の「政治資金」に関する緊急公開質問状

      日本世論の会福井県支部長    野村利幸(79歳)

      平成19年7月19日 TEL 0776−37−1076

 質問事項・・・『政治資金の運用について』 小沢代表自身、即時引退を
迫られる程緊迫した重大な疑惑が発生しました。

 天地神明に誓って『嘘・偽り』なく迅速にご回示くださいますようお願い
申し上げます。

・ 疑惑の内容

  (一)    最大の問題は自由党から「改革国民会議」にわたった約13億円の
うち、5億6千万円が政党助成金だったことです。
政党助成金は解散時に残高がある場合は国に返還しなければならないことが
法律で決まっています。


  (二)   それが返還もしないで、小沢代表の軍資金になっているのです。
これが事実とすれば小沢代表は政党助成金、国民の血税を5億6千万円も
横領した大罪人ということになります。
参議院選挙の有権者を欺くウソツキと非難されます。


 7月14日付 産経「花田紀凱の週刊誌ウォッチング」で『週刊文春』
(6月28日号)「小沢一郎『現金25億円』の錬金術」の記事が取り上げら
れています。

                         (以下 略)


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参議院議員通常選挙に想う
                                           副理事長 勝木俊知

はじめに

今年は参議院議員通常選挙(21回参院選)の年である。平成181223日、24日付産経新聞は、「参院選は75日公示、22日投開票となる見通しであり、自民党は、参院選比例代表の公認候補に、平成16年にイラクに派遣され第1次復興業務支援隊長をつとめた陸上自衛隊の佐藤正久1佐(46)を擁立する方針を固め、本人に出馬を要請した」と報じている。
 佐藤氏の出馬は、現役高級幹部がその前途有望な職を辞し、政界に転出するのは初めてのことである。自衛官出身で参議院議員になった源田、堀江、永野、田村の各氏は、自衛隊で功成り名を遂げて退官した後の出馬であり、年齢も佐藤氏より
10歳は上であった。
佐藤氏が今回当選すれば4(24)勤めても70歳であり、政治家としての大成も夢では無い。
 自民党の佐藤氏擁立の理由は、「防衛官僚
(背広組)よりも「ひげの隊長」として知られる佐藤氏の方が、現役の自衛官(制服組)OBからの支持を得易いと判断した」と報道(平成181223日付産経新聞)にはある。即ち、
前途ある1人の自衛官の運命が現役の全自衛官とOBに託されたのである。その負託に応える方策を考えてみたい。(尚、平成1915日付産経新聞は、自民党比例候補者として、佐藤正久―自衛官―新、と報じている。)

現役自衛官の選挙アレルギーの克服

―教育の徹底

 先ず、選挙アレルギーの克服である。
現役自衛官のみならず
OBにも選挙アレルギーがある。即ち、選挙は「触らぬ神に祟りなし」の態度で臨むにしかずとの風潮である。アレルギーの根底には、自衛官の宣誓に「政治的活動に関与せず」との文言があり、選挙も政治活動の一環として捉えて、また、選挙違反を危惧して、選挙への関わりを無視、又は拒否するのである。

 加えて、
過去の選挙、特に平成10年以降の参院選において、自民党から出馬した参院選比例区の防衛庁出身候補は、総て落選した。平成10年には元自衛官の石田氏の名簿順位が低く(平成7年参院選では依田氏が名簿順高位で当選した)、現役自衛官やOBの自民党への不信を買った。
 平成
13年選挙では、その不信が尾を引くと同時に現職議員ではあったが制服組では無いこともあり、依田氏の票は伸びなかった。
特に平成
13年の参院選からは、制度が変わり拘束名簿式比例代表制から非拘束名簿式比例代表制となった。端的に言えば、政党の得票数に応ずる得票率によって政党の当選者数が決まり(ドント方式)、政党の定めた名簿の序列順に上から当選者が決まっていった方式=拘束名簿式から、政党の当選者数を割り出すドント方式には変更は無いが、当選者は、政党の名簿の記載順では無く、個人名の得票数が多い順から当選が決まる方式=非拘束名簿式、に変更された。この新制度への理解と、制度の仕組みが徹底されなかったことも、依田氏敗北の一因とは言えた。
16年の参院選では制度そのものへの理解は一般的に深まったものの、元防衛官僚(背広組)であった月原(参議院議員)、鈴木(前参議院議員)、関(新人)の三氏が立候補し、現役自衛官やOBにとっては股裂きならぬ八つ裂きの選挙となり、現役自衛官の選挙への関心は一挙に冷めた。
自民党は何故
3名もの公認を認めたのか、防衛庁としても何故1人の候補者に絞らなかったのか、とのOB間での批判もあり、結果は三氏とも落選した。
このような、過去の選挙の有様を見れば、選挙アレルギーが生ずるのも当然であろう。

 
このアレルギーを克服するには、平凡ではあるが、自衛官の宣誓で言う「政治的活動」の内容と、新しい「選挙制度」についての教育を現役自衛官に徹底することである。
宣誓に言う「政治的活動」とは、
226事件や515事件、遡れば竹橋事件等の国政を左右するようなクーデターまがいの活動や行動を意味するのであり、国民一般の権利であり義務でもある選挙権の行使や、それに関連する活動を禁止するものではない。
勿論、現役自衛官は特別国家公務員であり、その活動には国家公務員としての制限を受けるのは事実であるが、その枠内での行動は何ら禁止されてはいない。
特に個人名の得票数が勝負を決する「非拘束名簿方式による比例代表制」については、現役自衛官のみならず
OBにも知ってもらいたい。

現行選挙制度の理解と徹底

―投票用紙には候補者名を記す

 1947(昭和22年・第1)から1980(昭和55年・第12)までの参院選では全国1選挙区で個人名で投票する全国区であった。即ち、日本全国を選挙区として、得票数の多い順に当選するのである。全国区の定数は100名で、1950(昭和25年・第2)以降は半数改選のため、改選数は50人であった。候補者は全国各地を回る必要があるため、選挙費用がかかり、組織を持つ候補者、知名度が高いタレントが有利な制度であった。
しかし、選挙後過労死する当選者が出たため、残酷区、また経費のかかるところから銭酷区などと言われた。また、候補者がいかに多くの票を獲得
(1968年・第8回―石原慎太郎・約301万票、1977年・第11回―堀江正夫・約81万票)しても、政党としては1つの議席しか得られず、死票の目立つ制度であった。
 以上の問題点から、
1983(昭和58年・第13)の参院選から政党名で投票する拘束名簿方式の比例代表制に変更された。
この方式は、ドント方式により、政党の獲得票数に応じて当選者数を政党に配分し、その枠内で、党が決める名簿の上から順に当選者が決まる方式で、名簿記載順位の不透明性などから、
2001(平成13年・第19)以降、現在の非拘束名簿方式による比例代表制に変更された。
 この方式は、投票に当たり、党名または個人名いずれを記入しても良いが、
当選者は政党の当選者獲得数の枠内において、個人の氏名票数の多い順に当選するのである。当選するためには、候補者が全国を選挙区として個人名の票数を稼ぐ必要があることから、全国区制の復活との意見もある。
従って、ある候補者を当選させるためには、有権者は、その候補者の氏名を投票用紙に書く必要がある。候補者の氏名または政党名いずれを記しても政党の得票数になるので、候補者の氏名を記すことは、その投票の効果を2倍にすることにもなる。このことを投票する有権者は知らなければならない。ここに第19(平成13)、第20(平成16)参院選の結果を抜粋した表がある。

(参考)平成13年参院選の自民党内順位表(個人得票数順)

例:自由民主党(20人当選)

順位

氏 名

個人名得票数

備考

1位

舛添要一

158万

2位

高祖憲治

47万

3位

大仁田厚

46万

20位

中原 爽

10万5千

ここまで当選

21位

中島啓雄

9万5千

以下は落選


(参考)平成13年参院選挙での、各政党の候補者得票数と政党得票数の比率(%)

党名

個人得票(A)

/C

政党得票(B)

B/C

総得票(C)

当選人数

自民党

6,189,290

29%

14,925,437

71%

21,114,727

20

民主党

2,907,830

32%

6,082,694

68%

8,990,524

8

公明党

6,322,007

77%

1,865,797

23%

8,187,804

8

共産党

264,163

6%

4,065,047

94%

4,329,210

4

自由党

584,264

14%

3,642,884

86%

4,227,148

4

社民党

1,330,531

37%

2,298,104

63%

3,628,635

3

保守党

665,620

52%

609,382

48%

1,275,002

1

  注:1人当選者を出すためには、政党としては平均120万票が必要。

(参考)平成16年参院選の自民党内順位表(個人得票数順)

例:自由民主党(15人当選)

順位

氏 名

個人名得票数

備考

1位

竹中平蔵

72

2位

秋元 司

30

3位

長谷川憲正

28

15

松村祥史

52

ここまで当選

16

神取 忍

123

以下は落選

※神取氏は、平成18928日、竹中議員の辞職により、平成18104日、繰上げ当選した。

(参考)平成16年参院選挙での、各政党の候補者得票数と政党得票数の比率(%)

党名

個人名得票  (A)

/C

政党名得票  (B)

B/C

総得票(C)

当選人数

自民党

5,193,122

31%

11,604,565

69%

16,797,686

15

民主党

3,792,421

18%

17,345,037

82%

21,137,458

19

公明党

8,381,083

72%

2,490,182

28%

8,621,265

8

共産党

580,398

13%

3,782,176

87%

4,362,574

4

社民党

936,370

31%

2,054,295

69%

2,990,665

2

  注:1人当選者を出すためには、政党としては平均110万票が必要。

上記の表でわかる事は、

1、政党として1人の当選者を出すためには、110万〜120万票が必要、

2、当選のために必要な最低限度の個人名獲得票数が、第1910万票から第2015万票に増加、次の第21回参院選では最低1820万票代の得票数が必要と予測される

3、当選者を多数出す公明党は、第1977%、第2072%と個人名票の占める割合が高い

結論は、投票用紙には当選させたい候補者名を書くこと、これに尽きる。そしてこの事実を有権者に周知徹底することである。

棄権の防止

―期日前投票の実施

 第1920回参院選では自民党から立候補した防衛庁関係候補者(依田・月原・鈴木・関氏)が全員落選した。
その理由は、候補者が全員元防衛官僚であり、現役自衛官が選挙にある程度無関心であったこと、その結果として、投票用紙には個人名ではなく政党名を記したこと、または、投票を棄権したこと等が考えられる。
防衛関係の有権者数は、現役自衛官約
23万人、隊友会会員約13万人、その他父兄会・郷友連盟会員を加えると約50万人になる。更に、その家族・親類・縁者等を含めると、防衛関係約100万の票田と見られるのも当然である。

 しかしながら、過去
2回の参院選の結果は、防衛関係票の10%〜15%が候補者に集まったにすぎない。今年は亥年で、4月の統一地方選挙の影響もあり、7月の参院選の投票率は低いと言われている。過去2回の参院選比例代表の全国投票率は、平成13年の第19回が56.42%、平成16年の第20回が56.54%とかなり低い。この傾向から、今年の参院選比例代表の投票率は、良くて5253%台、悪くすれば45%くらいまでに低下することも予測される(平成7年―亥年の第17回参院選投票率は44.52%で史上最低)

そのような低投票率の時に、
現役自衛官及びOBが、「投票率100%、行動90%」を目標に、且つ、「記名投票100%」に撤する行動をとるならば、必ずその成果は表れる。
現役自衛官は訓練や行事で投票日に投票できないこともあろう。そのために、期日前投票、即ち、不在者投票の制度を利用することである。公示日から投票日の前日までの
17日間、選挙管理委員会の定める場所において期日前投票ができる。全般的に投票率の低い時に、高投票率の集団があり、その集団が記名投票すれば、候補者には有利である。

朝礼、終礼、教育・訓練の合間などの機会をとらえ、選挙制度と棄権防止につき教育し、行動するならば、現役自衛官の選挙アレルギーも少しは解消されるのではないだろうか。

おわりに

 今回の参院選は、候補者にとっても支援する者にとっても、準備期間がわずか約6ヶ月と極めて短期間である点にある。さらに、候補者には地盤も看板もカバンも無いに等しい。誠に、苦しい選挙活動を強いられることになる。
それを克服するには、後援会は勿論のこと、元職場・同窓・同期・地元(出身、現住)・友人・知人・親類・縁者等の有志による絶大なる支援と応援が必要であり、かつ、現役自衛官の選挙アレルギーの払拭が緊要である。更に、重要なのは、候補者本人が当選に対する強い意志を持って臨むこと、及び現役自衛官及びOBが一体となり、勝利を確信して目標達成に向け邁進することである。  (平成19年1月5日・記)  




民主党小沢代表に対する緊急公開要望書

福井県郷友会会長・野村利幸氏が、次のような緊急公開要望書を民主党小沢代表に送付し、
その回答を求めていますので、その内容を紹介します。         (副理事長 勝木俊知)



民主党小沢代表に対する緊急公開要望書

                 日本世論の会福井県支部長 野村利幸

                 平成18年12月12日

(はじめに)

 貴職におかれましては、希望に輝く21世紀の日本と世界をつくるために『“共生”
を新しい国づくりの理念とし、筋の通った「公正な国・日本」をつくる。極端で偏向し
た日本を土台からつくり直し安定感のある信頼される“常識の政治”を行い、“普通の
国・日本”を実現する』ことを“基本理念”として、日夜鋭意ご尽力されていることに
対し心から敬意を表し感謝申し上げます。

 年末ご繁忙の折、突然の“緊急要望”ということで誠に恐縮でございますが、「突如、
目前に亡国の危機が現われ、これを迅速果敢に突破しなければ国家の存亡に拘わる事態が
発生したからであります。

何卒ご海容の程を切にお願い申し上げます。

1.目前に迫り来る“亡国の危機”とは、

 11月26日の産経新聞が掲載した『米国の大手インターネット企業「アメリカンオン
ライン」(AOL)テッド・レオンシス副会長(50)が南京事件(1937年)を取材
した映画「南京」(仮題)を作成し、年明け以降発表する。なお華僑消息筋によると、
これには、米国を舞台に反日宣伝を繰り返してきた中国系組織「世界抗日戦争史実維護
連合会」(じ後、維護連合会と略す)が深く関わっていた事』に関する件であります。
(別紙1)(略)


2.維護連合会とは

「欧米等世界各国を巻き込んだ“国際反日包囲網”の大組織であり、中国共産党及び
政府当局とも密接な繋がりを持っている」と言われています。


“内外における活躍”の事例

 (1)   平成9年、南京事件60周年記念行事として、日本でも各地で、中国が作成
  し
た「南京1937」が上映されました。最も強烈に脳裡に刻み込まれたのは『日本
  兵が安全区の入口に軍用トラックを乗りつけ、「戦争には女が必要なのだ!!」と
  叫んで婦女子を次々と荷台に引きずり上げて行く場面です。その中には欧米人の若
  い女性も含まれており、白い美しい臀部と股を“大写し”しているのです。』

     これでは欧米人が「日本人を鬼畜の如き人種とみなし、恐怖と憎悪心を抱くのは
  当然であり、中国の欧米諸国を味方につける謀略の巧妙さ」に戦慄を覚えました。

   併しこれが全くの“ウソ”であることを証明したのは東京裁判における南京光
華門一番乗りの指揮官、歩兵第36連隊長脇坂大佐の証言でした。『脇坂大佐は、
占領後、間もなく平和が甦った南京城内視察のため、安全区内も確認しようとして
乗馬のまま入門しようとしましたが衛門歩哨が、「入門許可証無き者は、連隊長と
雖も許可できません」と断られているのです』これが真実です。


(2)  
平成11年2月10日から3日間「戦争犯罪と戦後補償を考える国際市民
フォ
ーラム」が左翼42団体が主催して東京で実施されましたが、この主催者代表は
元日本弁護士連合会長の土屋公献氏であり、共催が「世界抗日史実維護連合会」で
あって、我が国内でも堂々と活躍していることが判明しているのです。

  なお、11・12の両日は、社会文化会館(社民党本部)で「南京大虐殺」を
真先に取り上げて意見交換、検討会を実施しています。

(3)   中国は、カナダの1/3の人口を有するモントリオールに、公共・福祉等の
施設
を提供し、行政当局や学校の教師を南京に招待し、大虐殺館を見学させて、遂に
来年度からこの高校で大虐殺を教育するようになってしまったのです。

3.アイリス・チャン著「ザ・レイプ・オブ・南京」とは、

 米国が作成する映画「南京」の下敷きであり、その内容は中国人特有のウソで固めた
反日宣伝の書である。その本に対して、わが国の南京事件研究の権威者、東中野修道・
藤岡信勝両教授の共著『ザ・レイプ・オブ・南京』の研究―中国における「情報戦」の
手口と戦略―(平成11年9月祥伝社発行)が、そのウソを完膚なきまでに暴露し反撃
しています。 (別紙2)(略)


 (1)   この本の目的とする処は、サブタイトルの「第二次世界大戦のホロコースト」
 が示す如く『日本の歴史と伝統・文化の全面否定であり、この内容が“世界の常識”と
 なることにより、日本が永久に立ち直ることができず滅亡すること』を企図しているの
 です。

    例えば「明治新政府が、国民の道徳規範として武士道の倫理を採用したこと」が、
 やがて日本軍を残虐行為に走らせたと論じ、南京大虐殺の根底に日本古来の武士道が
 ある」と決めつけています。つまり、世界各国から「ヨーロッパが誇る騎士道と並び
 称せられている伝統の武士道・日本人の魂を抹殺」しようとしているのです。

 (2)   さらにこの本は「被害者支那人を虐殺しまくる極悪の日本人!!これを救う
 正
義の味方欧米人という図式」を作り上げています。
    例えば国際委員会の面々が「格闘して、支那人男性を処刑場から出した」とか、
 「日 本軍の発砲を防ぐため機関銃や大砲の前に飛び出した」と言った、どんな史料
 にも見られない、荒唐無稽な物語りまで作り出しています。これこそが歴史的事実を
 平気で無視し、執念をもって根気良く宣伝し続けることによって情報戦を勝利に導く
 中国の伝統的常套手段なのです。


         上記二大凶悪要因を基盤とする映画“南京”が世界中で放映されることは
 『我が 国が精神的侵略戦争という有史以来最大の国難に直面することになります。

  今こそ国の総力を挙げて断固阻止しなければなりません。

(本文)

 映画“南京”の世界各国での放映は「今、我が国内で最大の関心を集め、問題となってい
る生徒の“いじめ”処ではありません。中国が世界各国を巻き込んで強行しようとしている
「1億3千万人の日本人とその子々孫々を対象とする壮大なスケールの“いじめ”です。

 この21世紀の精神的侵略大戦争に完敗するようでは、国会議員始め平成時代の日本人は
末代までも恥辱を受けることになります。この“いじめ”には内的・外的要因があり、この
元凶を根本的に潰滅しなければなりません。この陣頭に立って阻止する適任者は、民主党
代表の貴職以外には居りませんので下記の通り要望いたします。この要望に対し何卒ご回示
を賜りますようここに謹んで御願い申し上げます。

           記

第1 内的要因の排除に関する要望

  1.民主党の羽田孜最高顧問を更迭すると共に、本人に「南京30万大虐殺は無かった」
 という“
羽田孜元総理大臣談話と、国民に対する謝罪”を公式に発表させて下さい。
  ⇒ 全般の核心となる要望です。

「理由」

  (1)  羽田内閣の時に、永野茂門法務大臣が「南京大虐殺は無かった」と発言したこと
  に対し、即時罷免して、中国首脳に謝罪を繰り返しました。

      当時日本の将来を真剣に憂うまともな歴史学者等が30万大虐殺を全面的に否定
  する論文を発表し本を発行していたのに一瞥も与えず軽率極まる暴挙に出たのです。

      中国は日本の総理大臣が『30万大虐殺を“真実”と認定したことに自信を深
  正々堂々と全世界にその残虐さ悲惨さを訴える権利を与えられたもの』として大歓迎し、
  壮大な構想を練り実行しつつあります。

   即ち2008年のオリンピックに備え「南京30万大虐殺記念館を3倍に拡張すると共に
  世界遺産にすることを企図し、日本人の歴史認識・教科書検定・首相の靖国神社参拝・
  国立追悼施設・等の内政干渉を招き、遂に“日本人を末代までも屈辱の民とする『日本
  撲滅の”映画南京“の作成と宣伝という強行手段』を自信を持って遂行する最大原因と
  なったのです。

      その悪影響は止まることを知らず、計り知れないものがあり、この大罪は万死に値
  するものであります。昔なら切腹ものです。

  
   (2)  貴職は民主党の基本理念の中で、“新しい国作りの理念として、「日本を土台
   から作り直し、安定感のある信頼される常識ある政治“を行う」と宣言しておられます。
  天下国家のため”泣いて馬謖を切り“本問題を土台から一挙に解決できるのは貴職以外
  に誰も居ません。勇気を持って断行するか否か、国民は固唾を飲んで見守っているので
  す。これは直ちに参議院選の勝敗にも深刻且重大な影響を及ぼすことは明々白々です。

 2.民主党が「南京30万大虐殺が史上最大の“ウソ”であるという“真実”を確認」する
 ための要望。

  
  (1)
真っ先に、南京事件の真実を簡明的確に解説した本、『朝日が明かす中国の嘘』
   故・田中正明先生著(平成15年5月高木書房)の検証から始めてください。この本は
  “朝日新聞が報道した『平和甦る南京』の写真特集”―日本軍による虐殺などなかった
  証明―故・田中正明先生著(平成6年4月・教科書を正す親の会発行)(略)小冊子を
  原書として作成したもので、国会図書館に保存してある朝日新聞始め各社の報道を丹念
  に調べ上げた“真実”の書です。

   (2)この“朝日が明かす中国の嘘”に基づき、世界出版の茂木弘道代表は六項目か
  なる「公開質問状」を朝日新聞に提出したが未だ回答が届いていません。
(別紙3)(略)
   その概要は次の通りです。
    @  昭和47年、本田勝一氏の「中国の旅」連載以来、朝日新聞は、真偽も検証せ
    ず
に“南京大虐殺について大々的に執拗に報道してきた。「中国軍が殺した満州
    馬賊の生首写真を南京虐殺ストーリーに仕上げた(昭和59年8月)はその典型例
    である。

      A  朝日は南京戦の現場に、陥落の12月13日以降15人余の記者を送り込み、
    当
時の南京の様子を写真25点とともに紹介している。
     記事タイトル「平和甦る南京」「昨日の敵に温情―南京城内の親善風景」等の写真
    と記事が撮影者の名前入りで伝えられている。

      B   現在の朝日新聞は、当時の記事とは全く逆に大虐殺があったと主張している
    から
には過去の自社の真偽についてどう考えているのか、そして本書の提起する疑
    問に対してどう考えているのか答える義務がある。

       C「当時の軍の検閲が厳しく真実を伝えられなかった」などという言い訳は通用
       しない。南京取材記者のキャップであった橋本登美三郎氏(元佐藤内閣官房長官)
       は、『何も不自由は感じていない。思ったこと、見たことはしゃべれたし、書いて
       いたよ』と本書の中で証言している。
       D  世田谷区の5分の4ぐらいの面積しかない南京場内、20万市民の殆どが集中
    し
ていた安全区は、代々木公園・新宿御苑・神宮外苑とその周辺ほどの面積である。
     100人・10人単位の殺害が行われたとしても120名もの記者が競って取材
    写真を取りまくっているのに誰の目にも止まらない噂にも出ないということはあり
    得ない。

         実際、安全区国際委員会の記録によれば『殺害事件の総数は27件で、その中、
      目撃が記録されているものは、わずか1件に過ぎないのである。中国が主張する
      6週間で城内で30万人殺害となれば一日平均7千人を超える人員を確実に殺さな
    ければならない。これこそが30万大虐殺の嘘の根拠です。

       E  もし朝日新聞に良心があるならば、自社の現場報道記事のどこが間違っていた
    の
か具体的に説明すべきである。それと全く相反する虐殺説を主張するとしたら、
       朝日は社会の木鐸どころではなく、なんの良心も無い一貫性もないセンセーショナ
       ルペーパーといわねばならなくなる。

    (3)  貴職は訪中前に朝日新聞社長に対し、「“平和甦る南京の写真特集の真偽”を
   未
発表のまま“大虐殺を報道し続けている不誠実極まる態度”を厳しく糾し、その根
   拠を直ちに公表するよう強く要求」して下さい。その結果“ウソツキ新聞と判明すれば
     「売国朝日新聞に『純真な高校球児の全国大会主催を断固拒否せよ!!甲子園球場
    の使用を絶対に許すな!!』という声が全国津々浦々から湧き上り、朝日新聞は絶体
    絶命のピンチに立たされることでしょう。

第2 外的要因の排除に関する要望

  平成19年1月訪中されるとのことですが、下記事項を徹底的に議論して下さい。

1. 民主党の「筋の通った『公正な国・日本』を作るという基本理念を貫き通して下さい。
この為に“正しいものは正しい、誤りは誤りと対等にハッキリと話し合う関係を作り上げて
下さい。


2. 親善の根底をなすものは『真心と真実ほど尊く強いものはない!!真心と真実ほど相互
理解と信頼を深め、両国間と世界平和に貢献するものはない』ということをシッカリ認め合
って下さい。


3.「日中間では、有識者による歴史共同研究が発足したので、日中友好の最大の障害とな
っている“南京事件”については、研究結果“真実”が判明するまで、自国に有利な一方的
な宣伝は厳に慎むこと」を確約して下さい。『特にウソを真実として世界中に発信し侮辱する
ことは自ら国際信義を裏切り、友好親善を放棄し破壊するものである事』を強調して下さい。

4.  南京30万大虐殺については“史上最大のウソ”である・・と自信をもって会談に臨ん
で下さい。

  根拠は @前述の「朝日新聞が報道した“平和甦る南京の写真特集」 A我が国の南京事件
問題の最高の研究機関『日本南京学会』会長・亜細亜大学教授、東中野修道氏の最新作「南京
事件―国民党極秘文書から読み解く」(平成18年5月発行草思社)」・・“南京大虐殺の源
流は虚報とプロパガンダ本だった!中央宣伝部によって『戦争とは何か』が製作されていなか
ったならば今日の「南京大虐殺は無かった」と言っても過言ではない“ B東中野修道・小林進
・福永慎次郎の三氏による最新作「南京事件―「証拠写真」を検証するー(平成17年2月発行
・草思社)“南京大虐殺の証拠写真143枚はいずれも、合成・演出・ひそかな転載・キャプ
ション改鼠で証拠として通用するものは1枚もなかった。”

(あとがき)

   十月上旬米下院本会議で「第二次大戦中の日本の従軍慰安婦に関する対日非難決議を採
するという動きがありました。これは今回の“「レイプ・オブ・南京」を下敷きに映画「南京」
米で公開”と同様、我が国の名誉と尊厳にかかわる国難でした。


   幸い安倍首相の陣頭指揮により、官邸と外務省が一丸となって対処したため、未然に防
することができました。その陰にあって民間の「史実を世界に発信する会・・会長加瀬英明氏」
の顕著な働きかけもありその実情は(別紙4)の通りです。特に事務局長・茂木弘道氏(前述)
の“朝日新聞に抗議の公開質問状を出した人物と同一)は、資金難と戦い乍ら435名の全下院
議員にFAXで抗議文を送りつける等、目ざましい活躍でした。

   この度の映画「南京」に拘わる国難に立ち向かう最高指揮官は何と言っても民主党の小
代表です。このお二人の活躍ぶりが、21世紀の日本と世界をリードする者は、誰かを判定する
ために天が国民に与えてくれた絶好の機会です。

   なお、安倍首相の中国初度訪問に対しては内外から高い評価(別紙5)を受けましたが貴職
におかれましてもこれを上回る輝かしい成果を収められるよう衷心よりご祈念申し上げます。

                                    謹白



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NHK橋本会長に対する緊急公開質問状

福井県郷友会会長・野村利幸氏が、次のような公開質問状をNHKはじめ関係諸団体等に送付し、その回答をNHKから得たのでその内容を紹介します。(副理事長 勝木俊知)

NHK橋本会長に対する緊急公開質問状 

                  日本世論の会福井県支部長 野村利幸(78歳)
                             T.F 0776−37−1076

(はじめに)
 会長殿には日本放送界の代表であるNHKの「公共放送としての価値を高めることを事業運営の根幹」として、日夜真摯な努力を続けておられ、心から敬意を表し感謝申し上げます。私は約20年間、世論の会の事務局長や支部長を勤めさせて頂いております。従って全国各地から、日本の前途を憂う良識ある国民から嘘・偽りのない真実の声が絶えず寄せられています。
 大変ご無礼とは存じますが、これらの声を代弁して公開質問をさせて頂きますのでご回示を賜りたくお願い申し上げます。
 質問内容は、「菅義偉総務相がNHKに対し放送法に基づき短波ラジオ国際放送で“拉致問題”を重点的に取り上げるよう命じる方針を示し、電波監理審議会に諮問する件」についてお伺いします。

質問第一・・・「NHKは拉致問題の重要性に鑑み、これまでも国際放送のニュースや番組できちんと取上げてきた」とのことですが“まっすぐ真剣”に考えたならば『従軍慰安婦の真実』を真っ先に取り上げるべきであったはずではないでしょうか。

 北朝鮮が本問題について、常に高圧的に出る根本原因は本年2月日本との協議でも明らかになったように『強制連行840万、従軍慰安婦20万人の被害を強弁』し、経済協力とは別に補償を求めて本問題の解決を複雑にし、引き延ばしをはかっているからです。

 北朝鮮のこの主張が全く出鱈目であり、「河野談話に基づく」ものであることは明白です。この河野談話が完全に嘘であることは、当時の官房副長官石原信男氏等の証言や、関係官庁が全力をあげて調査した結果、どの公式文書にもこれを裏付ける資料がなかったことでも証明されています。

 従ってNHKは「従軍慰安婦の問題解決無くして拉致問題の解決なし」の信念をもって北朝鮮に対し又、全世界に対し『従軍慰安婦の真実』を一刻も早く周知徹底すべきですがその意思はありますか。

質問第二・・・NHKはこの拉致問題解決の最大の障害である従軍慰安婦問題をどれ位、真剣に取り組んできましたか。

  昨年1月12日、朝日新聞が報じた「安倍・中川両議員を攻撃目標とした“政治介入批判の糾弾記事”は『朝日の極左記者とNHK偏向プロデューサーが仕組んだもの』であり、日本を代表する二大メディアが如何に偏向・左翼まみれであるか・・そしてその実態は放送法と日本新聞綱領・定款違反の『不法な売国的メディア介入であること』が明らかになりました。(細部は週刊新潮05.1.27)

  平成13年1月30日、NHKが放映した左翼市民団体主催の女性国際戦犯法廷は「従軍慰安婦問題につき昭和天皇や日本政府の犯罪を裁く」という模擬裁判でしたが、何と『二人の北朝鮮工作員が検事役として参加』していたのです。NHKはこの事実を知らなかった筈がありません。驚くべきことに「国民の受信料と税金で経営する“国民の皆様のNHK”がわが国の主権を侵害し、多くの拉致被害者家族を長期間、いじめまくっている北朝鮮の味方をしている」のです。これでは拉致被害者家族がNHKを憎むのは当然です。NHKの国民への誓い「まっすぐ真剣が、”嘘、偽り“でない」のであれば、直ちに拉致被害者家族に対し、正式に謝罪すべきであります。今や全国民が真剣に見つめているからです。

  良識派の国民が呆れ返り憤慨して『受信料の支払いは拒否する。NHKは解体して民間放送局にせよ。公共機関として継続するなら政府は、命令してでも違法・利敵行為を禁止し処罰せよ。』との声が起きるのも当然ではありませんか。この国民の叫びに明確にお答えください。

質問第三・・・NHKが公表した“平成18年度の「約束」”の第4項に『不正の根絶に徹底して取り組みます』と明示してあります。これを着実に実行すればNHKは本当に国民から信頼されるNHKに生まれ変わり受信料不払い者が激減することは申すまでもありません。

・ 質問第二の涙を流してまで嘘の告白をした偏向チーフプロデューサーに対し、このような不正を根絶するために、どのような懲戒処分をされたのか公表して下さい。既に終わっておればお許し下さい。

これをウヤムヤにして放置することは協会内の一部左翼分子に対する管理者の内部統制機能が全く無い証拠です。これでは自主的編成の美名の下で暴走が続くばかりです。

質問第四・・・河野談話の不正を糾弾する民間の努力に学ぶべきではありませんか。

◎ 民間団体・・「史実を世界に発信する会」(代表・外交評論家 加瀬英明氏)は正しい歴史事実に基づく文献を英訳し、英文ホームページを通じて世界に発信する活動を続けています。

・ 本年10月上旬、米下院国際委員会において慰安婦に関する対日非難決議を採択し、本会議に提出されそうな動きになりました。この事態にこの「発信する会」は9月29日、下院の全議員435名に抗議の手紙をFAXで送り、又10月2日、海外特派員協会へも80部発送しました。

     国民から受信料も税金もビタ一文も受け取っていない民間団体でさえ『誤れる歴史情報によって“日本の名誉、国益が損なわれるのを防ぐ”ためかくの如き涙ぐましい努力を続けているのです。

この「発信する会」のタイミングのよい顕著な愛国的行為により米下院の全議員及び外国特派員を通じて全世界の人々に『従軍慰安婦の真実』が知れ渡る処となり、下院本会議での採択を阻止することができたのです。

   このような努力は民間よりも先ず公共のNHKが率先して活模範を示すことがNHKの本来あるべき姿ではありませんか。

    民間個人・・日本人の中で本問題の最高の権威者は、誠実で温厚な紳士“大師堂経慰先生”です。朝鮮生まれで朝鮮育ち、京都帝国大学出身の元朝鮮総督府事務官ですから統括時代から終戦後引揚げる迄の間の朝鮮は知り尽くしています。従って“従軍慰安婦の真実”に関しても第一級の卓越した知識を持っておられます。現在も首都圏に住まわれお元気で文筆活動を続けております。

   先生が熱誠込めて書いた「河野談話は許せない・慰安婦強制連行はなかった」という著書(展転社・・初版平成11.2.11)及び月刊誌「正論」の平成15.3月号、「元朝鮮総督府幹部が強制連行に反論する」並びに平成17.7月号「河野談話」の放置は決して許されないを一読すれば真実は即座に明らかになります。

・ 先生は「命果てるその瞬間までこの問題に取り組む」と並々ならぬ決意を固めておられます。

(むすび)

    NHKは戦後60年間『自分で自分の国を罵倒する左翼偏向学者等の論説は無条件で受け入れて国内外に宣伝し洗脳してきました。この従軍慰安婦問題にしても平成11年にすでに発刊されていた良識派・真実の先生の著書で真実を把握して報道しておれば、日本人がこれ程までに恥辱を受け人権が侵害され、我が国の主権が侵犯され、名誉を深く傷つけられることはなかったのです。

    今日、大多数の国民はインターネット情報でめざめ、既存のメディアが、首相の靖国神社参拝や、安倍内閣の実現を阻止しようとしてもこれをはねつける時代が到来したのです。この厳しい現実を直視して大改革をしなければ「ウソツキNHK」の悪名は内外に響きわたることでしょう。

    平成18年11月4日                 以上

NHKの回答文

野村 利幸 様

前略

 日ごろよりNHKのニュース・番組をご視聴くださりありがとうございます。
 このたび、命令放送やETV2001の内容に関する厳しいご意見、ご指摘をいただきました。改めて視聴者の皆さまからの信頼と期待にお応えできるよう、全力で改革に取り組まなければならないと決意を新たにしています。
 今回、橋本会長から野村様へのご返事を、視聴者の皆さまの窓口である私ども視聴者センターから差し上げるようにとの指示を受けました。
  私たちは、お手紙や電子メールでお寄せ頂いたご意見やご要望に、直接お返事を差し上げることで、小さな一歩でしかありませんが、信頼回復に繋げてまいりたいと考えています。ご納得いただけるお答えになっているかどうかわかりませんが、小職より返信させていただきます。

 最初に、従軍慰安婦問題に関するご質問をいただきました。この問題については、これまでも、適宜・適切に取材し、必要に応じて取り上げているものと考えています。最近の例ですと、安倍政権発足後初めての国会である105日の衆議院予算委員会の質疑の中で、安倍総理大臣が、平成5年の河野官房長官談話について質問されたのに対し、「強制的な行為が具体的にあったかどうかの確証には、いろいろ疑問点があるのではないかということを、かつて申し上げた。一方で、政府としては、談話を出すことで内外に日本の姿勢を示したのだから、これを私の内閣で変更することはない」との内容の答弁をしたことを放送しています。
河野官房長官談話に対しては、さまざまな考えがあることも承知しており、ご指摘の内容は、今後の取材・放送の参考にさせていただきます。

 次に、平成13130日に教育テレビで放送した番組・ETV2001シリーズ「戦争をどう裁くか」の2回目、「問われる戦時性暴力」に関するご質問をいただきました。この番組は、第二次世界大戦中の旧日本軍によるいわゆる慰安婦問題について、「人道に対する罪」という視点から問い直す動きが起きている中で、歴史的経緯や世界的な潮流を踏まえ、戦時下の性暴力を問うことの意味を考えるものとして放送しました。番組では、前年12月に東京で開催された「女性国際戦犯法廷」を素材のひとつとしてVTRで紹介し、スタジオの2人のコメンテーターやVTRでの識者のインタビューなど、この法廷への批判的な意見を含めて多角的にお伝えしました。NHKは放送法とそれに基づく国内番組基準に則って、不偏不党、公正公平な番組制作を続けており、今後もこの姿勢を堅持して参ります。

 三番目に、チーフ・プロデューサーについて懲戒処分を行い、公表すべきではないかとのご指摘をいただきました。問題の職員は、去年113日、ご指摘の番組について「政治的圧力によって改変された」との内容の記者会見を行いました。ただその内容は伝聞に基づく根拠のないもので、事実ではありません。
NHKでは、当日のニュースで、その内容が真実でないことを伝えるとともに、この番組をめぐって「女性国際戦犯法廷」を主催した団体と争っている裁判のなかで、職員の発言が伝聞に基づくもので、事実ではないことを主張しています。
ただ、公益通報者保護法の趣旨にのっとり、職員に対する処分は行っていません。

 四番目に、民間の努力に学ぶべきではないかとのご指摘をいただきました。
さまぎまな見解がある政治上の諸問題を扱うに際しては、幅広く取材することが欠かせないと考えています。同封いただいた資料をはじめ、民間団体の活動や資料等についても参考にすることは大事だと認識しています。

 NHKは、放送法の規定とNHKの番組基準に従って、自主的な編集方針のもと、公平で公正な放送に、日々取り組んでいます。今後とも、視聴者のみなさまのご意見に耳をかたむけながら、一層、的確な放送に努めてまいりたいと考えておりますので、なにとぞご理解たまわりますよう、お願い申し上げます。                                                                          草々
 平成181114
                             NHK視聴者センター長
                              穴沢勝(サイン)


河野談話に関する意見

産経新聞10月30日付け朝刊「主張」欄に河野談話に関する意見が掲載されているので、野村氏の意見と合わせ参考にされたい。(副理事長 勝木俊知)

 
◆【主張】河野談話 再調査と見直しが必要だ

 慰安婦問題に関する河野洋平官房長官談話(平成5年)の見直しに言及した下村博文官房副長官の発言が波紋を広げている。野党は「閣内不一致」として追及する構えだが、問題視される発言とは思われない。
 この発言は、下村氏が都内の講演で行ったものだ。個人的見解としたうえで、河野談話について「もう少し事実関係をよく研究し、時間をかけ客観的に科学的な知識を収集して考えるべきだ」と述べた。政治家として当然の発言である。安倍晋三首相も「私も官房副長官時代に議員の資格でいろんな意見を言った」と問題視していない。
 
 野党は、下村発言が安倍首相の国会答弁と食い違っているとしている。確かに、首相は参院本会議や衆院予算委員会で、内閣として河野談話を受け継ぐことを重ねて表明している。
 
 しかし、衆院予算委で首相は以前の自分の考えについて、こうも言っている。「当時の官房副長官の話を聞いた結果、当初、報道されていた内容と違うと疑問を持った」「当時、『狭義の強制性』が果たしてあったかの確証については、いろんな疑問点があると申し上げた。その後、『広義の強制性』に議論が変わっていった」
 
 河野談話が抱える問題点の核心をついた答弁である。当時の官房副長官は石原信雄氏で、「狭義の強制性」は軍や官憲による強制連行のことだ。
 
 河野談話はいわゆる「従軍慰安婦の強制連行」を認めていた。だが、それを裏付ける証拠は日本側が集めた公式文書になく、談話発表の直前にソウルで行った元慰安婦からの聞き取り調査のみに基づいて「強制連行」を事実と認めたことが、後に石原氏の証言で明らかになった。その後、一部マスコミが「広義の強制性」に論点をすり替えたこともよく知られている。
 
 誤った事実認定に基づく政府見解にいつまでも内閣が縛られることは不自然だ。再調査による見直しが必要である。過去にも政府見解が変更されている。首相の靖国参拝について、昭和55年の政府見解は「違憲の疑いは払拭(ふっしょく)できない」としたが、昭和60年に公式参拝を合憲とする見解に改められた。
 
 河野談話についても、まず議員レベルで専門家を交えた研究を行い、正すべき方向性を示してほしい。
 
 
 
河野衆議院議長に対する緊急公開質問状


福井県郷友会会長・野村利幸氏が、「国難」の打開を目的として、次のような公開質問状を関係諸団体等に送付し、国民運動の一環として活動されているので紹介します。(副理事長 勝木俊知)

河野衆議院議長に対する緊急公開質問状
                               
平成18年10月1日 日本世論の会福井県支部長 野村利幸
(はじめに)
貴職が平成5年8月4日に発表した従軍慰安婦に関する「河野談話」の件について、国家国民の名誉と尊厳に関わる緊急事態が発生していますので、この国難打開のため絶対に必成を期して迅速に対処されんことを熱望する次第でございます。
9月23日の新聞報道によれば「第二次大戦中の慰安婦問題を巡る米下院での"対日非難決議について10月上旬の会期末までに下院本会議での採決をめざす方針を表明した"ことが明らかにりました。
◎国難・・・これが実現すれば「自由主義国家群のリーダー、米国が"戦前戦中に20万人を越える女性や少女が日本政府により性的奴隷とされたことは、これまで最も無視されてきた20世紀の国際法と人権こを蹂躙した「国家的犯罪」と公認したことになり、これが動かしがたい事実として各国の世界史に刻みこまれてしまいます。
この為、日本人は世界中から「淫乱で残酷極まりない汚い人種」と断罪されてしまうのです。その危機も今、目前に迫っています。この国難を打開する方策につき公開質問をしますので自己の命と政治生命を賭けてご回示賜りたくお願い申し上げます。
            
           記
 
質問1ー本件の解決策は唯一つ。河野談話を発表した貴職が「その後の有力な証言及び調査・検証によって"軍・官憲による従軍慰安婦の強制連行は無かったことが確認"されたので、河野談話は撤回します」ということを現政府に正式に申告することです。これに同意されますか。

質問2ー同意できないのであれば、その理由を「万人が納得できる根拠を明確にして政府及び全国民に説明責任を果たすべきである」と思いますがこれに同意されますか。以上の質問の中、いずれかを10月上旬の米下院の本会議の採択までにキチット間に合うようにご回答願います。

(貴職が回答する為の参考資料)
下記の資料を2時間かけて真剣に精読されたならば即座に決断できます。
1、「慰安婦」対日非難決議案米下院で可決も・・・別紙1(略)産経新聞平成18年9月23日
2、「河野談話10年」迎合外交は教育を損ねる・・・産経新聞の主張、別紙2(略)
3、重ねて「河野談話」の撤回を求める・・・高崎経済大教授 八木秀次 別紙3(略)
4、歴史の捏造に手を貸す朝日新聞・・・政治評論家 屋山太郎 別紙4(略)
5、「河野談話」の放置は決して許されない・・・元朝鮮総督府地方課長 大師堂経慰 別紙5(略)
6、慰安婦問題対日非難決議案の不当性・・・史実を世界に発信する会 代表 加瀬秀明 別紙6(略)

(むすび)
上記参考資料を熟読すればこの国難の元凶が「河野談話」であることは明々白々であります。
天地神明に誓って、至当な判断の下、この国難を打開されますよう重ねて切望し、その回答を10月10日までに送付されますようお願い申し上げます。回答無き場合は何回でも公開質問を続行します。

       平成18年10月1日 日本世論の会福井県支部長 野村利幸 0776-37-1076

※公開先ー三権の長、主要閣僚、全政党の代表及び役員一同、内外マスコミ、主要各種団体、その他




 「防衛を支える会」の本部が平成17年1月27日解散した。

郷友連盟と「防衛を支える会」との関係を振り返り、その解散を惜しむものである。以下、郷友連盟50年史の1ページとして、郷友政治連盟との関わりについて触れる。  (本部副理事長 勝木俊知)

1、はじめに
平成17年1月27日、「防衛を支える会」(以下、「防支会」と略称)が解散した。昭和63年6月発足以来、17年間の歴史に幕を閉じた。「防支会」と「日本郷友連盟」(以下、「郷友連」と略称)とは、この17年間にわたり、各種の選挙協力、及び政治運動への参加によって、緊密な協力・支援関係を保ってきた。特に、「郷友政治連盟」(以下、「郷政連」―昭和43年5月設置―と略称)は、「防支会」の実施する「参議院議員選挙」活動を共に推進してきた。
また、「郷友連」は「防支会」の行った、防衛庁の「省昇格」運動(署名運動及び地方議会からの「意見書」提出運動)や「自衛官の処遇改善」運動等に積極的に協力してきた。

2、選挙活動の支援
「防支会」は「政治における防衛の地位と自衛隊員等の社会的地位の向上」を目的として昭和63年6月に発足した。その根底には、参議院全国区の防衛代表選挙で苦労を重ねてきた各県等からの「政治連盟設立」の要望があった。その要望に応えるため「政治連盟設立検討会議」(昭和62年4月発足)が設置され、「郷友連」も防衛関係11団体の一員としてこの会議に参加し設立に寄与している。「防支会」は、発足以来主として参議院選挙において防衛代表を支援する活動を展開してきた。即ち、防衛代表である―田村秀昭(平成1年)、永野茂門(平成4年)、依田智治・田村秀昭・鈴木正孝―静岡選挙区(平成7年)、石田潔・月原茂晧(平成10年)、依田智治・田村秀昭(平成13年)、月原茂晧(平成16年)―の各氏を参議院議員候補として推薦し支援してきた。「郷政連」もこれに同調し支援活動(支持者名簿作成のための署名獲得運動・選挙活動支援等)を実施した。結果は、石田潔(平成10年)、依田智治(平成13年)、月原茂晧(平成16年)の各氏は落選であった。特に、平成16年の選挙においては、自衛官代表の立候補者が無く、防衛庁関係者3名(関肇・鈴木正孝・月原茂晧)の立候補者の中から、月原茂晧氏一人を推薦支援するとの「防支会」はじまって以来の唯一の候補者を支援する政治活動・選挙活動を展開した。
結果は、月原氏の惨敗(約8万5千票―地元票2万5千票を除けば、防衛票は約6万)となり、「防支会」の政治的役割も終わったとして、平成17年の解散に至った。平成16年参議院選挙において、郷政連の本部では寺島会長以下が、支部では沖縄県、福岡県、宮崎県、鹿児島県、香川県、山口県、石川県、福井県、京都府、三重県、愛知県、群馬県、茨城県、青森県が積極的に「防支会」の実施する選挙活動に協力した。平成17年の「防支会」の解散によって、「郷政連」が、防衛関係諸団体では、唯一の政治団体となった。

3、「自衛官処遇改善」運動への協力
次に、「自衛隊員の社会的地位の向上」に関する運動として、「防支会」は、平成2年以降、「給与制度の改善」・「年金制度」・「援護制度」・「叙勲制度」などにつき、山崎拓「防支会」会長(前衆議院議員)を先頭に陳情を続けた。その結果、平成4年2月、処遇改善委員会が、平成5年3月には年金問題研究会が開催され、自衛官の各種処遇が改善されるに至った。そして、平成15年11月には、新叙勲制度の一環として、元自衛官に対する「危険業務従事者叙勲」が行われた。これら「自衛官の処遇改善」に関しては、「郷友連」独自での意見書、陳情書の提出、また「防支会」との連携活動(地方支部の活動として)がおこなわれた。平成16年には、自衛隊のイラク派遣に関連し、派遣自衛隊員に対する支援募金活動を青森県郷友会、愛知県郷友会等が防衛関係諸団体の中心となり実施し、派遣自衛隊員から感謝された。

4、防衛庁「省」昇格運動への参加
(1)、防衛庁の「省」昇格の経緯
防衛庁の「省」への昇格については、昭和38年6月、自民党の決議、昭和39年6月「省」昇格法案の閣議決定、昭和40年2月「省」昇格法案の再度提出、平成9年行革会議中間報告、同12月行革会議最終報告、平成10年6月制定の中央省庁等改革基本法、平成11年11月自民党・保守党が中心となり参議院内に防衛庁の「国防省」昇格を目指す超党派議員連盟結成の動き、平成12年3月自民党国防三部会が法案骨子を党に提出したが連立与党の公明党が反対、平成12年8月依田智治議員が中心となり「参議院防衛省設置推進国会議員連盟」設立、同年11月自民党が「衆議院防衛省設置推進議員連盟」設置、平成13年6月保守党が中心となり、「防衛省設置法案」を国会に提出、平成14年12月与党3党(自民・公明・保守)幹事長間で「有事法制成立後においては防衛庁の『省』昇格を最優先課題として取組むとの合意、平成15年7月参議院において防衛省推進議員連盟が再発足、平成13年提出の法案は、数度の継続審議の取扱いを経て、平成15年10月に衆議院の解散により廃案となる、等等の経過をたどっている。
(2)、「省」昇格署名運動
この間、平成11年10月、「防支会」が中心となり「防衛庁の省への昇格を推進する会」(「郷友連」もメンバーの一員)を結成し、防衛庁「省」昇格署名運動を開始した。約2年間で60万名近くの署名を集め、防衛庁の「省」昇格の早期実現を求めて、平成12年11月、平成13年6月と2回にわたり衆・参議院両議長に請願を行った。この署名獲得運動には、「郷友連」も積極的に参加し、多数の署名を得て「防支会」に提出して、署名活動に寄与した。

(3)、省昇格「意見書」の提出
また「防支会」は、平成12年5月から施行された「地方議会」から国会に対する「意見書」の提出制度を活用し、「省」昇格運動の促進を図ったが、「郷友連」としては、特に平成14年1月以降、月原議員(担当:勝木理事)を通じて、各地方議会に働きかけ、「意見書」の提出を依頼し、国会審議の早期実現を図った。その結果、平成14年3月から平成15年10月までの間に53の道・県・市・町・村議会から、防衛庁の「省」昇格要望「意見書」の提出があった。特に、岡山県、鹿児島県内市町村からの「意見書」提出が多く、河合理事長(岡山県)、中原副会長(鹿児島県)の尽力がうかがえる。
平成17年2月現在、自民党において再度防衛庁「省」昇格の法案提出準備(公明党は難色)がなされている。郷友連盟は、国民運動の一環として、今後とも、要望・陳情・請願・「意見書」提出推進等の手段により、防衛庁の「省」昇格運動を実施する(「平成17年度事業計画」)ことになっている。

5、今後の防衛諸団体の政治活動
「防支会」が解散した現在、防衛関係諸団体が行う政治活動や、選挙活動等を積極的に取りまとめる中心的政治団体は存在しない。「郷政連」は、過去、独自(源田、堀江、永野各氏の参議院議員時代)で、又は「防支会」発足以降は同会に積極的に協力して政治活動を展開してきた。将来の選挙(参議院選挙のみならず地方の選挙も含む)や政治活動に備え、「隊友会」・「父兄会」・「郷友連」の三団体が中心となり新しい防衛政治連盟を立ち上げて、地方と一体となって活動するのか、現状のままで状況の推移を見守るのか、平成17年の時点では不透明な状況にある。
                                            
※平成16年の参議院選挙の例
  ● 以前「会員の声」として、前回平成13年における参議院議員選挙における防衛議員の惨敗について、「防衛を支える会」へ寄せられた自衛隊員OBの声が寄せられていたが、次期平成16年の参院選挙に郷友連盟連はいかに対応しようとしていのか、教えてほしい。(千葉県会員 杉山 一)

 ☆ 回答
「防衛を支える会」の態勢ー政治連盟・防衛を支える会(山崎 拓会長)は平成15年全国総会(6月11日)で、次期参議院議員選挙(比例区)では、政権与党で唯一人の月原茂皓・自民党現職議員を唯一の推薦候補とすることを決定した。これは前回の参院選挙惨敗の教訓を生かし候補者を一人に絞り、当選を確実にすることにより自衛官OBの自民党からの出馬当選への道を開く基盤としたいとしている。(細部は「郷友」8月号、65頁参照)
郷友連盟連としては、今後、郷友政治連盟をつうじて「防衛を支える会」への協力態勢を整えてゆくことになる。
(本部副理事長 勝木俊知)


● 国を思い、故郷を愛し、家族をいつくしみつつ戦場に散華された英霊の御心を偲ぶとき、靖国神社の護持に最大限の努力をすることが、現代に生きる国民、特に「英霊の慰霊・顕彰」を使命の柱と位置づけている我々日本郷友連盟会員に強く望まれるのではないだろうか。そのため、これを顕在化する一つの手段として、「靖国神社崇敬奉賛会」への入会が考えられる。同会発行の案内チラシによれば、今年に限り、5千円を送金すれば崇敬奉賛会の一年分の年会費及び「百三十年記念事業」の奉賛金と併せて納入したこととされ、遊就館の無料入場や社報「靖国」の贈呈、その他の特典が与えられるとのことである。郷友会員各位の格別のご協力をお勧めする次第である。
(東京都支部 会長代理 矢部廣武)
 靖国神社崇敬奉賛会 〒102ー8246東京都千代田区九段北3ー1−1、03ー3261−8143


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